2008年12月11日(木) 21時14分
<EU>11日から首脳会議 排出量取引強化目指す(毎日新聞)
【ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU、加盟27カ国)は11日からブリュッセルで首脳会議を開き、地球温暖化対策を協議する。「2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で20%削減する」との目標達成に向け、排出量取引制度の運用強化など具体的な政策合意を目指す。EUはこれを弾みに、欧米の排出量取引制度の連結による「大西洋炭素市場」の形成に向け、オバマ次期米政権と連携を深める考えだ。
首脳会議は2日間の日程。EUは首脳会議の合意を「追い風」に、ポーランド・ポズナニで開催中の国連気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)の議論に弾みを付けたいと考えている。
だが、EU加盟国の足並みは必ずしも一致していない。発電量の約95%を石炭火力発電に依存し、温室効果ガス削減費のかさむポーランドは、他加盟国からの支援や特例措置を要請している。また、金融危機と景気後退を受け、ドイツなどは温暖化対策で自国産業の国際競争力がそがれる事態を危惧(きぐ)している。
EUが年内合意を目指す背景には、来年1月のオバマ政権誕生を見据えた戦略がある。ブッシュ現政権は温暖化対策に消極的だったが、オバマ次期大統領は温室効果ガス削減の数値目標を掲げ、企業が市場で排出枠を売買する排出量取引制度を導入する方針を表明している。
EUの行政府・欧州委員会のバローゾ委員長は、オバマ次期大統領の姿勢を「EUの対策と大筋で一致する」と高く評価。「EUは(欧米それぞれの排出量取引制度を連結する)大西洋炭素市場を提案すべきだ」との考えを示している。
一方、首脳会議では、今年6月のアイルランド国民投票で批准が否決された新基本条約「リスボン条約」の来年中の発効を目指し、同国で来年10月末までに国民投票を再実施することで合意する見通し。
【ことば】EUの温暖化対策
京都議定書に定めのない2013年以降の「ポスト京都」時代に向け、EUがまとめた野心的な取り組み。2020年までに(1)温室効果ガスの排出量を20%削減する(2)再生可能エネルギーの消費割合を20%に拡大する−−ことなどを目標とする。欧州委員会が今年1月、排出量取引制度の改善など具体的な政策案を加盟国と欧州議会に提案した。
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