◆アルゼ杯第35期名人位戦プレーオフ1回戦(10日)将棋女流名人位戦プレーオフ1回戦 将棋の矢内理絵子女流名人(女王、28)への挑戦者を決める第35期アルゼ杯女流名人位戦(主催・報知新聞社、日本将棋連盟、特別共催・アルゼ)A級リーグプレーオフ1回戦が10日、東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われた。後手の里見香奈倉敷藤花(16)が、118手で千葉涼子女流3段(28)を圧倒。15日のプレーオフ最終戦で清水市代女流王将(39)を破れば、初の名人位戦挑戦者の座につく。
ほおを紅潮させた里見は対局を終えると、ようやくほっとした笑みを浮かべた。「ちょっと意外に攻め手がなくて…。でも(94手目の)6五金から(98手目)の5五角あたりで勝ったかなと思いました」
得意戦法の中飛車から角交換を誘い、千葉をリードしながら堂々とした将棋を展開。終盤、ややもたつきもあったが、16歳とは思えない冷静さで寄せきった。
前夜、出雲から飛行機でひとり上京。対局後に東京発の深夜バスに乗り込み、早朝に家へ着くという強行移動をこなしている。現役の女子高生にはもちろん、学校の授業も。しかし本人は、どこでも寝られるので長距離バスの移動が好きだという。ケロリとした様子にも、ここ一番で動じない強心臓ぶりがうかがえる。
悲願の女流名人位戦まであと1勝。A級リーグで首位に立っていたものの、今月3日の最終9局で清水に敗れて、清水、千葉と星が並び自らプレーオフを招いた。一度は目前で逃した挑戦者の座だが、15日の清水戦に勝てば挑戦者になる。「(清水さんは)中盤にリードをされてしまったら追いつけないので、丁寧に指したい」と気持ちを引き締めた。
◆序盤の長考失敗
○…04年度以来の女流名人位戦登場を目指した千葉だったが、序盤に長考したこともあり、終盤に持ち時間(2時間)がなくなって苦しい展開に。「気長に指す将棋と思っていたんですが、時間かけて丁寧に指しすぎた。もっとテキパキいっても良かった」と話した。
主催:報知新聞社、日本将棋連盟
特別協賛:アルゼ(株)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081211-OHT1T00066.htm