2008年12月11日(木) 23時09分
自衛隊戦力アップに子育て支援 OB代替要員…24時間託児所も拡充 (産経新聞)
防衛省が自衛官の子育て支援を拡充している。子育てで休業する自衛官の代わりにOBを採用する「育児休業代替要員制度」は開始から1年で軌道に乗り、普及に力を入れる。自前の託児施設も第1号開設から半年で日々の利用者は40人以上に達し、2カ所の増設も決めた。自衛隊の戦力強化には「男女の長所を生かした人事管理が不可欠」(自衛隊幹部)とされ、女性自衛官が働きやすい環境が整いつつある。
育児休業代替要員制度は昨年9月にスタート。代替要員には、勤務経験が1年以上あり、各階級で定年に満たない元自衛官を3年以内の任期で採用している。
防衛省では事務官に対する同様の制度は平成14年に導入済み。自衛官への適用が遅れたのは、「専門性の高い職種が多く、代替要員に任せられるか検討が必要だった」(人事教育局)ためだ。部隊運営に支障を来さないよう、試験などの選考によりOBを即戦力として採用することにした。
同局によると、制度導入前は、育児休業をとる自衛官がいると同僚が業務をカバーしなければならなかった。同僚の負担増に気がねして、育児休業をとりにくい雰囲気もあったという。
これまでに陸自6人、海自3人の計9人の女性自衛官が制度を利用し、育児休業に入った。海自の代替要員では、男性2人が厚木基地(神奈川県)の洋上管制隊に配属。資格が必要な航空管制官OBで、専門的な飛行支援をこなしている。
陸自のOB採用第1号は、十条駐屯地(東京都)で物品を調達する補給統制本部に配属された女性で、野外炊具の仕様書作成を担当。この女性は育児を理由に退職していたが、子育てが一段落したため応募した。「OBがもう一度、自衛隊で活躍する自己実現の機会にもなっている」(同)という。
一方、今年4月には、三宿駐屯地(東京都)に0歳児から小学校入学前の児童を預かる託児施設が開設された。
自衛官は当直やシフト制など勤務形態が不規則なため、夜間や休日の保育も充実。災害派遣などで出動する際、24時間対応の緊急一時保育も受け入れており、利便性は高い。来年4月に熊本、22年4月には横須賀(神奈川県)の駐屯地などにも託児所を開設する。
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