2008年12月10日(水) 21時17分
<追加雇用対策>官邸「決定していない」 財政出動必至で(毎日新聞)
政府が9日の関係閣僚会合で決めた追加雇用対策をめぐり、具体化に向けた道筋が示せないことから、首相官邸は「決定していない」と強調し始めた。官邸が慎重姿勢を取るのは、与党が提言した3年間で総額2兆円規模の雇用下支え策などを盛り込んだ対策は相当な財政出動が伴い、概算要求基準(シーリング)維持の方針と矛盾するためだ。政府は09年度予算案の編成過程で調整を図るが、実現できない分野が出る可能性もある。
河村建夫官房長官は10日の記者会見で「現時点で3年間で2兆円を明示した形にはなっていない。政府としてそれをオーソライズした(認めた)という段階ではない」と述べた。
首相は11月27日、与党に(1)非正規雇用者らの雇用維持(2)失業者の再就職支援(3)新卒者への内定取り消し問題への対応−−の3点を中心に対策を取りまとめるよう指示。与党は5日に首相に対し、提言を行っていた。
しかし、与党の対策案を追認する形となった9日の関係閣僚会合では「今後実施していく事業については雇用状況等を踏まえつつ、各年度の予算編成過程において適切に対処する」と確認するにとどまった。このため、同会合を経てスタートするはずだった08年度第2次補正予算案、09年度予算案に盛り込む作業は難航している。
与党案は財源として雇用保険の積立金と一般財源からそれぞれ1兆円を捻出(ねんしゅつ)。ただ、一般財源の1兆円のうち、8500億円は財源のめどがたっていないのが現状。政府関係者は「シーリングを『維持する』と決めた以上、与党案をそのまま盛り込めばシーリングが崩れてしまう」と解説した。【西田進一郎】
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