高松塚古墳(奈良県明日香村)の国宝壁画で「飛鳥美人」と呼ばれる東壁の女子群像が傷ついた事故で、文化庁は10日、絵の表面からはがれたしっくい片が見つからなかったと発表した。損傷個所の修復は不可能という。
傷の近くにしっくいの破片があったが、10日の調査で顔料が確認できず、事故ではがれたのとは別の破片と判明。床などにも落ちていなかった。
文化庁は事故発生から半月後の9日に公表。修復責任者の川野辺渉東京文化財研究所副センター長への報告も公表前日だったという。
川野辺副センター長は「修復技術者の慣れた目で直後に捜していれば、見過ごすことはなかった」と話している。
文化庁職員らが11月25日、修復施設で壁画の顔料などを調べていたところ、機器の先端が女子群像に接触。右端に描かれた女性の緑色の衣に長さ3ミリ、幅1ミリの傷ができ、顔料が削り取られ、下地のしっくいが白く露出した状態になった。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081210-OHT1T00243.htm