2008年12月09日(火) 01時59分
<ノーベル賞>長崎被災の写真で平和訴え 下村さん記念講演(毎日新聞)
【ストックホルム河内敏康】異例の日本語や、持参の緑色蛍光たんぱく質(GFP)を光らせる演出−−。ノーベル物理学賞を受ける小林誠・高エネルギー加速器研究機構(KEK)名誉教授(64)と益川敏英・京都産業大教授(68)、化学賞を受ける下村脩・元米ウッズホール海洋生物学研究所上席研究員(80)が8日、スウェーデンのストックホルム大で記念講演をした。受賞者たちが思いを込めて語る深遠な自然の真理が、約1000人の聴衆を魅了した。
まず小林さんが登場。対象となった6種類の素粒子クォークによる「CP対称性の破れ」について、いつも通りの落ち着いた様子で解説した。研究の実証につながったKEKでの実験など、素粒子物理学における日本の貢献を強調した。
下村さんの講演では、初めに頭上の照明が消えた。試験管に入れた持参のGFPに紫外光を当てて緑色の光を浮かび上がらせると、聴衆から大きな拍手が起きた。米西海岸でオワンクラゲを家族ぐるみで採集したエピソードを交えて聴衆の関心を引きつけ、GFP発見の意義を説明。一方、疎開先の長崎が原爆により被災した写真を映し平和の尊さを訴えた。講演終了後、下村さんは「役目を終えた感じだ」と一言言い残し会場を後にした。
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