2008年12月09日(火) 21時51分
ギリシャ暴動、全土に 不況で社会不安…欧州各地にも飛び火(産経新聞)
【パリ=山口昌子】ギリシャで学生らによる暴動が全土に拡大しつつある。警官隊との衝突などで多数が負傷したほか、ベルリンやロンドンなど欧州各地にも“飛び火”しており、ギリシャで1985年に発生した大暴動以来、最悪の事態となった。背景には、不況による社会不安や若年層の失業率の増加などがあるとみられている。
今回の暴動は、アテネ市内で6日、15歳の少年が警官に射殺されたことをきっかけに始まった。少年ら約30人が警察車両を襲撃した後、警官に銃撃されたという。この警官はすでに殺人の疑いで逮捕された。
アテネ市内では8日夜、数百人の過激派が警官隊と激しく衝突。国営オリンピック航空本社や政府庁舎、警察署などが襲撃され、約130軒の商店が略奪行為にあった。観光用のクリスマスツリーも焼き払われたという。ロイター通信によれば、50人以上の警官や市民が重軽傷を負い、150人以上が拘束された。
第2の都市テッサロニキや、クレタ島などでも過激派が警官隊と衝突、暴動は全国10都市以上に拡大した。ベルリンでも、ギリシャ領事館が約8時間にわたり、ギリシャ移民らに占拠された。
ギリシャのカラマンリス首相は8日、暴動を非難する一方、国民に平静を呼び掛けた。しかし、10日には、国内全土で大規模なストライキが予定されており、騒乱は数日間、続くとみられる。
与党、新民主主義党による中道右派政権は現在、国営企業の民営化や、年金改革などを進めており、労働組合や学生らによる反政府デモが頻発している。国内の約5分の1が貧困層といわれ、国内の富裕層への反発も広がりつつある。
今回の騒乱で、同政権が早期の解散・総選挙を迫られる可能性もありそうだ。
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