2008年12月08日(月) 21時26分
渡辺喜美氏「怪気炎」 反麻生から政界再編へ 党内の支持は?(産経新聞)
麻生内閣の支持率急落を尻目に、自民党の渡辺喜美元行政改革担当相のボルテージは上がる一方だ。公務員制度改革から始まった麻生太郎首相への批判は平成20年度第2次補正予算編成、倒閣発言と続き、ここにきて新党結成にも言及、軸足が「反麻生」から「政界再編」に移りつつある。ただ、過激な発言に距離を置く議員も少なくなく、「単騎」でひたすら走るのか、勢力を広げられるのか、政治家としての力量が試されるときにきている。
8日夕、都内で開いた自らのパーティーで渡辺氏は、800人の支持者を前に「頭の体操」と断った上で新党結成のシミュレーションを示すと、最後には「自身の姿」のようにこう力説した。
「裸一貫型はインパクトはあるし、大きく化ける可能性がある。覚悟だけでできる」
「麻生批判」があからさまになったのは、塩崎恭久元官房長官ら24人で結成した「速やかな政策実現を求める有志議員の会」が11月21日、2次補正予算案の今国会提出を政府に求めたころからだ。
「(参加すれば)倒閣運動とみられる。いいのか」と念を押したものの、メンバーから「渡辺さんの味を出せばいい」と容認され、メディアを通じて世論を喚起する手法で政権批判を重ねてきた。首相が2次補正案の提出見送りを決めると、「選挙はやらない、景気対策は先送り。『なんじゃこりゃ』という感じだ」と語気を荒らげた。
今月には、6日に町村信孝前官房長官から「他人の弱みに付け込んで足を引っ張るのは、まともな大人のやることではない。どんどん逃げてもらいたい」と批判されると、7日のフジテレビ「新報道2001」で「そういう声が大合唱になれば(離党の)可能性もある。倒閣運動をやるときは腹をくくる」と応じた。出演後には「今国会で衆院を解散し、1月中に『危機管理内閣』を作ればいい」とも言い切った。
ただ、「麻生批判」には「当時幹事長だった麻生首相の差し金で福田改造内閣の行革担当相を留任できなかったと思っている」(渡辺氏周辺)ことも絡んでいるようだ。11月29日のテレビ番組で司会者から「行革相で残れば…」と問われると、数秒の沈黙の後、つぶやくように「飛ばされました」と答え、同氏を知る議員は「首相への恨みは相当なものがある」と漏らす。
「有志議員の会」は40人以上に膨らむ見込みで、全員が造反すれば与党による衆院での再議決は困難になる。しかし、パーティーに駆けつけた塩崎氏は「渡辺さんの発言だけを聞いて誤解されないようにしてほしい」と牽制(けんせい)し、「有志議員の会」が「反麻生」や新党結成で結束していないことがあらわになった。
中川秀直元幹事長や小池百合子元防衛相らによる社会保障に関する議員連盟にも渡辺氏は参加するが、ここでも「反麻生」が強まることへの警戒感が他の議員にはあり、中川氏は初会合を1週間遅らせざるを得なくなった。渡辺氏も「地道に仲間を増やすしかない」と言わざるを得ず、先は見通せていないのが現状だ。
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