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2008年12月07日(日) 23時32分

安売り攻勢の米年末商戦、まずは好調…急速鈍化の懸念も読売新聞

 アメリカの年末商戦が11月下旬に始まって約1週間が経過した。個人消費の落ち込みを警戒した、例年にない安売り攻勢で、小売店の売り上げは、事前の懸念ほどには落ち込んでいない。

 ただ、米自動車大手3社(ビッグスリー)の経営難に象徴されるように、米景気の先行きに対する懸念は深まるばかりだ。小売業界からは、年末にかけて客足が急速に鈍るとの声も聞かれる。

 11月27日の「感謝祭」から週末にかけて4日間の年末商戦の序盤戦は、「過去最悪の客足になる」と予想する小売業界の関係者が多かった。

 しかし、全米小売業協会(NRF)の集計では、4日間で、インターネット販売も含め、全米の小売店を訪れた買い物客数は約1億7200万人と、前年同期より17%増えた。客1人あたりの支出額も平均372・57ドル(約3万4600円)と、7・2%増だった。

 出足の好調さの背景には「例年よりも大幅な値引きに消費者が殺到した」(NRF)事情があるようだ。 例えば、米小売り最大手のウォルマート・ストアーズは感謝祭のセール期間中に、50インチのサムスン製のプラズマテレビを798ドル(約7万4000円)で、また、ヒューレット・パッカード製のデスクトップパソコンを398ドル(約3万7000円)で売り出した。

 しかし、「景気の悪い経済ニュースばかり聞いていると、買い物に行く気がしなくなる」(オレゴン州のケイトリン・マルルーニさん)といった声は、アメリカの消費者の多くから聞こえる。

 11月17日には、米金融大手のシティグループが海外拠点を含め従業員5万人の削減を計画していると報じられ、12月5日には、就業者数が前月より約53万3000人減と約34年ぶりの大幅な減少を記録したと発表された。さらに、米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)はクライスラーとの合併も検討、工場閉鎖や人員削減など大規模なリストラは必至と言われる。消費マインドを冷え込ませる材料は目白押しで、クリスマス前の年末商戦の売れ行きが注目される。(ニューヨーク 山本正実)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081207-00000043-yom-bus_all