2008年12月04日(木) 08時01分
舞鶴高1殺害 物証発見へ「勝負」 異例の6日間捜索終了(産経新聞)
京都府舞鶴市の高校1年、小杉美穂さん=当時(15)=殺害事件で、舞鶴署捜査本部は3日、遺体発見現場近くに住む無職の男(60)=窃盗罪で起訴、勾留(こうりゅう)中=宅に対する殺人、死体遺棄容疑での家宅捜索を終了した。捜索は当初予定の2日間を超える6日間にわたり、弁護人が立ち会うなど異例ずくめ。男の家にはごみなど大量の物品があるほか、裁判員制度をにらみ確実な証拠を得なければならないという捜査側の苦心がにじむが、「違法ギリギリ」などと捜査手法を疑問視する指摘も出ている。
≪捜査線上の男≫
男は現場周辺の徹底した不審者の洗い出しで浮上した。日ごろから通行人に大声を出すなどの不審な言動があり、府警は以前から男の存在は把握していた。
調べで、事件当日の男の行動が美穂さんの足取りと重なることが判明。さらに、遺体発見現場に至る府道沿いの防犯カメラに写った映像などから、男が事件直前に美穂さんと一緒にいた可能性も高まった。
男は11月15日、女性の下着などを盗んだ容疑で逮捕された。自宅の捜索はこの時も行われたが、窃盗容疑に限られ、殺人容疑などでの捜索はできなかった。
≪押収2000点≫
「事件解決のためには勝負するしかない」
捜査本部が美穂さんに対する殺人、死体遺棄容疑で男の自宅の家宅捜索令状を取る直前、ある捜査幹部はそう語った。
防犯ビデオの映像という“武器”はあったものの、直接犯行と結びつく物証や供述はなかったからだ。捜索で物証を発見することが、捜査本部に残された唯一の手段だった。
捜索は弁護人が立ち会うという異例の展開をたどった。加えて、3室しかない男の自宅には鉄くずやごみなどが予想以上に多く、大量の物品が捜索の行く手を阻んだ。「押収品の精査、餞別に時間がかかった」(捜査幹部)ため長期化したという事情もある。
捜査本部によると、捜索では衣類やスコップなど約2000点を押収。室内から毛髪や皮膚片も採取しており、事件につながる物証がないか、鑑定を進める。
≪裁判員制にらみ≫
捜査本部が物証の発見にこだわる一つが「裁判員制度」の開始が近づいていることだ。制度では、よりわかりやすく明確な物証が求められる。一方で連日の捜索は「推定クロ」を印象づけかねない危険性をはらんでいるのも事実だ。
「違法ギリギリ。裁判所も裁判員制度をにらみ安易に捜索令状を出すのを慎むべきだ」とジャーナリストの大谷昭宏氏は捜査の違法性を指摘する。
これに対し、日大名誉教授の板倉宏氏は、違法性はないとの認識を示したうえで「これだけかけても証拠が見つからなければ、別の方法を模索しなければならない」と、捜索は限界に近づいていたとの考えだ。
捜索で美穂さんの毛髪などが見つかれば捜査は大きく進展する。だが、捜査幹部からも「発見できなかった場合、振り上げた拳の下ろし方に困る」といった発言が出始めている。
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