死亡した父親の旧軍人恩給を不正受給したとして、仙台地検特別刑事部は3日、詐欺と有印公文書偽造・同行使容疑で、宮城県内の60代の女を4日に逮捕する方針を固めたもようだ。旧軍人恩給をめぐって刑事事件に発展するのは極めて異例。
調べでは、戦後間もなく死亡した父親の恩給を受給していた母親が死亡したため、受給資格がない女は宮城県大河原町長の印を偽造。受給者の生死を確認する書面に押印して総務省に提出、2001年ごろから03年ごろにかけ、恩給計約150万円をだまし取った疑いが持たれている。
女はそれ以前も不正受給を続けており、受給総額は約1000万円に上るが大半は時効になっているという。
恩給は住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)が導入された現在、受給者の生死を届ける必要がないが、以前は年1回、受給者の元に書面が送られ、自治体の公印をもらって総務省に返送する仕組みだった。女は町長印を業者に依頼して作らせたとされる。