教科書発行の手続きとなる検定作業の透明化を検討している教科書検定審議会のワーキンググループが4日開かれ、文部科学省側が、教科ごとに分かれて検定を行っている各部会の審議内容や決定事項などを記載した議事概要を、検定結果が出た後に公開するといった改善案を示した。議事内容の公開は初めてとなる。
市民団体などが求めていた各部会自体の公開は「静かな審議環境を確保する」として見送った。
改善案によると、現代史などの分野で「学説が複数ある記述に意見を付ける審査」や「高度な専門性が必要な新たな記述の審査」など慎重な判断が求められる場合は、部会判断で専門委員の任命や外部の専門家から意見聴取ができるようにする。
検定意見の原案となる調査意見書や作成者である「教科書調査官」の氏名も公開するが、審議中に情報が外部に漏れないよう、情報管理は強化するとしている。
検定作業をめぐっては昨年、高校日本史教科書の沖縄戦集団自決の記述をめぐり、過程の不透明さが問題化したため、改善策を検討していた。