2008年12月04日(木) 18時33分
マイクロソフト、Windows Mobileアプリ開発支援プログラム(Impress Watch)
マイクロソフトは、国内のWindows Mobile向けアプリケーション開発者を支援するプログラムを実施する。同社では4日より「開発者事務局」を開設し、エコシステムの構築に注力していく。
■ 開発者を積極的に支援
4日に開催された説明会で、マイクロソフト業務執行役員でコンシューマー&オンラインマーケティング統括本部 コンシューマー Windows 本部兼モバイルコミュニケーション本部担当の高橋 克之氏は、調査会社のデータを示し、2010年に向けてスマートフォン分野の急成長が見込めると期待感を示した。同氏は「2005年にウィルコムからW-ZERO3が発売されて以来、KDDIもWindows Mobile端末を発売する方針を明らかに、国内全キャリアがスマートフォンを取り扱うことになった」と述べ、経済状況が悪化する中でも、スマートフォンやWindows Mobileは順調に成長してきたと指摘した。
Windows Mobile端末が増加する中、マイクロソフトにとってもアプリ開発者は重要な存在とした高橋氏は、現状の課題として、開発者向け資料が十分ではないことや、開発者と通信キャリアの接点が少ないことなどを挙げた。
こういった課題を解決し、ユーザー・開発者・キャリア/メーカーがそれぞれにメリットを受けられるエコシステムを構築すべく、今回はまず開発者を支援する活動に取り組む。その1つとして、Windows Mobile開発者事務局が開設されることになった。事務局に登録しておけば、イベントやセミナーの案内があるなど、開発促進に繋がる情報配信が行われる。既に来年1月、パシフィコ横浜で「tech-days」というイベントが開催されることが決まっている。Windows全般の話題が取り扱われるが、Windows Mobile関連のセミナーも用意されるという。
高橋氏の講演の後には、各キャリアから開発者事務局の設立を歓迎するコメントが読み上げられ、キャリア側からも開発者を支援する考えが示された。
■ ドコモ、スマートフォン向けの課金プラットフォームも
続いて、NTTドコモ フロンティアサービス部アプリケーション企画担当部長の山下 哲也氏が登壇した。フロンティアサービス部は、スマートフォンに代表されるオープンプラットフォームに取り組む部署とのことで、変革期においてドコモが何を行えるか検討していく。
山下氏は、これまでのモバイル機器の流れを振り返り、「アプリはスタンドアロンだったが、オープンプラットフォームになると、さまざまなニーズにあわせ、多目的のアプリを汎用性の高いプラットフォームで使えるようにして成長していく。現在は、オープンプラットフォームへの移行期というのは大きなポイント」と述べる。
キャリアから見たスマートフォン、特にWindows Mobileの魅力について同氏は「コンシューマに響くアプリが提供できる可能性がある。既に多くの端末が登場しており、デバイスとして完成形に育っており、ノウハウがあって安心感を覚える。また、成長を続けているWindows Mobileは、安定して供給されているところも魅力」とした。
iモードの成長理由として、エコシステムの成立などを挙げた山下氏は、ドコモの今後の取り組みとして、スマートフォンユーザーがアプリを利用しやすい環境・仕組みを提供するほか、基盤と言えるプラットフォームのうち、課金や認証といった部分をスマートフォンでも利用できるよう、2009年の早い時期に具体的な方策をリリースする考えを示した。課金スキームについては、まずはiモードで利用されている仕組みを流用して速やかなサービス開始を目指す考え。また位置情報など、通信事業者ならではの部分を利用できるように、マッシュアップを促進する形で開発者向けの情報提供や環境構築に取り組むという。
山下氏は「ITという世界に新しい変革が起きようとしている。どのようなフロンティアを作り上げるかがミッション。日本のモバイルはガラパゴスと揶揄されることもあるが、決してそうは思わない。ユーザーや開発者、メーカー、キャリアなど皆が作り上げたエコシステムが世界に広がるために大きな鍵となるのがオープンプラットフォーム、スマートフォンだと思う」と述べ、ドコモとして注力していく姿勢を示した。
このほか4日のセミナーでは、実際にWindows Mobile向けアプリの開発を行う際に注意すべき点を紹介するセッションも行われた。QWERTYキーを装備する機種では、メーカーや機種によって配列が異なる場合があることや、解像度・ディスプレイサイズによるアプリの見え方、Windows用アプリを移植する場合の注意点などが紹介された。Windows向けアプリの開発で培った知識・ノウハウは応用できるものの、限られたリソースの中で動作させることや、ユーザーが外出先で使うという利用シーンの想定などが重要な点とされた。
最も人だかりができていたのは、日本通信のブース。3日に発表したばかりのi-mateのスマートフォン「Ultimate 8502」が操作できる状態で展示されていた。HTCなどのスマートフォンのような独自ユーザーインターフェイスは搭載していないが、i-mateでは「i-Q ソリューション」という法人向けサービスを提供するとのことで、管理者が複数の端末を一括管理できる機能などが用意される。
■フォトギャラリー
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081204-00000038-imp-sci