三重県名張市で1961年に女性5人が殺害された「名張毒ぶどう酒事件」で、再審開始決定の取り消しを不服として特別抗告した奥西勝元被告(82)の弁護団は3日、「捜査段階の自白は信用できる」と判断した名古屋高裁決定は誤りとする申立補充書2通を最高裁に提出した。
補充書は、虚偽自白についての米国の大学教授の研究や日本での冤罪事件の例を基に「問題の高裁決定には、取り調べを受ける側の心理状況への配慮が全くない。自白の信用性を認めたのは国内外の教訓や経験則に反する」と主張している。
また、奥西元被告の自白の経緯を検証。「取調官に迎合しやすい心理的傾向があり、取調官の圧力と強制の下で自白した。任意のものとは到底いえない」と指摘した。
名古屋高裁は2005年4月に再審開始を決定したが、同高裁での異議審では06年12月にこの決定を取り消し、弁護団が最高裁に特別抗告していた。