2008年12月02日(火) 11時43分
<自民党>ベテラン、若手を叱責 相次ぐ首相批判に警戒感 (毎日新聞)
◇「総裁を守る気なくて、何で政治家をやってるのか」
麻生太郎首相の政権運営を巡り、自民党の中堅・若手から批判が相次いでいることに対し、森喜朗元首相らベテラン議員が警戒感を強めている。延長国会で野党が政権批判を強める中、首相批判を容認し続けると、有権者の自民党離れを助長しかねない。党内の結束を求める各派閥領袖クラスと、次期衆院選への危機感を強める若手との間で、世代間対立も強まっている。
「自分たちが選んで2カ月の総裁を守るという気持ちなくして、何で政治家をやっているのか。マスコミに受けたいのなら、お笑いタレントでもやればいい」
森氏は11月30日、兵庫県洲本市の講演でこう語り、中堅・若手の動きを厳しく批判した。とりわけ、渡辺喜美元行政改革担当相や塩崎恭久元官房長官に対しては「テレビがくると、我先に麻生さんの悪口をぽんぽん。それなら、(自民党を)やめていけばいい」と不快感をあらわにした。
自民党内では総裁選で首相を支援した町村信孝前官房長官や伊吹文明元幹事長、津島雄二元厚相ら各派領袖が首相への批判を強める中堅・若手らに直接注意するなど「沈静化」に奔走。森氏も先月30日、首相批判を展開した町村派の若手議員を電話で叱責(しっせき)し、首相擁護で歩調を合わせる。
森氏らが中堅・若手グループの動きに神経をとがらせるのは、麻生首相の足元が揺らぎ、首相自身に批判を受け止めるだけの「余裕」がないからだ。古賀誠選対委員長は1日夜、東京都内の会合であいさつし、「政局が混迷し、厳しい時こそ挙党一致でやるのが、自民党の良き伝統だ」と強調した。
ただ、党内では、中堅・若手とは別の動きも広がる。森氏と同じ町村派の中川秀直元幹事長は、週内にも社会保障に関する議員連盟を結成する予定。中川氏の周辺は「政権の足りないところを補う『補麻生』の役割を果たしたい」と説明するが、「反麻生」での連携の可能性もくすぶる。
渡辺氏は1日のBS11の「インサイドアウト」の収録で、森氏の批判について「平時モードの発想で頭の中が非常時モードになっていない。ちょっと古すぎる」と逆に森氏を批判。収録後、記者団に対し「いろいろな集団が大同団結することもあり得る」と述べ、中川氏らの動きに関心を示した。
森氏は30日の講演で「自民党が野党になったとき、ぞろぞろ党から出ていった。その傾向が今また表れている」と述べ、あえて93年の衆院選での野党転落当時にふれた。若手議員が政権交代におびえる中で、党内には「各省庁はもう麻生政権を見放して、民主党シフトを取っているのではないか」(参院自民党幹部)との疑心暗鬼まで広がっている。【高山祐、近藤大介】
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