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2008年12月01日(月) 08時01分

【Re:社会部】「怪文書」の妙味産経新聞

 取材先を転々としていると、特異な紙ぺらを目にすることがあります。書き手や出所は不明ながらディープな内容のそれは、俗に「怪文書」と呼ばれています。

 最近も、いくつかの文書が関係者の間で話題になりました。汚職事件の贈賄側企業と大物政治家の癒着をつづったもの、某銀行の口利き融資案件リスト…。

 内容のすべてが真実かどうかは別にして、いずれも内部の当事者しか知らないような詳細にわたる「告発」でした。こうしたたぐいの文書は資料としての価値が高く、捜査当局が入手して事件の端緒になることさえあります。

 以前、ある問題を調べていて、関係する怪文書の書き手とおぼしき人物にたどり着きました。彼は否定も肯定もせず、こう言いました。「“爆弾”を扱うのってワクワクするかもな」

 一方で、明らかに個人攻撃を意図したものも存在します。カネや異性にまつわるゴタゴタなどプライバシーをあげつらい、当人をおとしめようというわけです。

 こちらは社会的意義がなく、決して許されません。ですが、本音を言えば読み手のひそかな楽しみもあります。単なる私怨(しえん)か? それとも組織の派閥争いか? 名もなき書き手の立場や心情をあれこれ想像していると、ヒトの悲しい性(さが)が透けてみえるのです。悪趣味ですかね…。(孝)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081201-00000061-san-soci