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2008年12月01日(月) 00時09分

手軽に安心野菜 ベランダ家庭菜園が人気産経新聞

 有害物質の混入など、食の安心・安全を揺るがす問題が頻発するなか、安心できる食材を自ら栽培しようという人が増えている。広い庭がなくても、マンションのベランダなど、わずかなスペースで育てられる栽培キットや肥料も販売を伸ばしている。景気減速による節約志向も影響しており、マンションのベランダを“家庭菜園”に変えようとしている。

 東京・恵比寿に住む女性会社員(39)は半年前に、自宅マンションのベランダでバジルの栽培を始めた。殺風景だったベランダには緑が増え、今ではホウレンソウやブロッコリーなど14種類の野菜の苗が所狭しと並ぶ。自分の手で作る野菜は安心できるものにしたいと、こだわりは強く、「芋虫が発生しても農薬は使わなかった」という。

 東京・神田の園芸店、植物図館の販売担当者は「なるべく農薬を使わない野菜を作りたいと相談に訪れる人が増えた」と話す。ベランダでの栽培方法をアドバイスする書籍も人気を呼んでいる。

 手軽に野菜を栽培できるキットや肥料も売り上げを伸ばしている。

 11月に、家庭用のハーブ栽培キット「S&Bキッチンハーブシリーズ」を発売したエスビー食品の伊藤一樹さんは「ガーデニングの目的が鑑賞から食用に切り替わっている」と話す。キッチンハーブは、スイートバジルなど9種類。小型の容器に入ったものを台所や居間で栽培し、必要な分量を摘んで料理に使用する。台所で栽培できる手軽さと、必要な量だけを使用できる無駄のなさが売りだ。

 コスモ石油グループが販売する園芸用液体肥料「ペンタガーデンシリーズ」は、これまで年間数千本程度だった販売本数が、今年上期には一気に7万本に増えた。植物の生育を助けるアミノ酸を配合しており、日照が少ないベランダでも野菜が育つと評価され、販売を伸ばした。

 景気減速による節約意識も野菜作りの後押しになっている。

 屋上緑化事業を手がけるマサキ・エンヴェック(長崎市)は、家庭向けの栽培キットも販売しているが、「トマトなら、1つの種から200〜300個程度収穫できる。夏季にトマトを買う必要がない」と、家庭菜園の魅力を話す。こうした経済的な面から、栽培キットを購入し、家庭菜園を始める家庭も増えているという。

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