来年5月に始まる裁判員制度について、読売新聞が主要企業100社にアンケート調査を行ったところ、74社が裁判員に選ばれた社員に対し、有給の特別休暇を与えることがわかった。
裁判への参加可能日数は、「7日以上」と回答した企業が27社と最も多く、社員の参加に前向きな姿勢を示す企業が多い。
一方、悲惨な事件を審理する際の精神面のケアについては、「企業内のメンタルヘルスでは対応に限界がある」など懸念が強く、裁判所にきめ細かい配慮が求められそうだ。
調査は先月下旬から今月上旬にかけ、各業種の主要企業を対象に実施した。
個別の事件で裁判員候補者や裁判員に選ばれた社員向けの休暇に関しては、38社が、裁判の証人など公の職務を果たす社員用の「公務休暇」などを適用し、通常の年次有給休暇とは別に特別休暇を与えると回答した。こうした従来の休暇制度を使わず、裁判員向けの特別有給休暇制度を新設するのは36社。
このほか、「既存の年次有給休暇を申請してもらう」という会社が1社あった。一方、「検討中」は23社で、2社が「検討しない」と回答した。
社員が裁判に参加する場合、何日まで会社として許容できるかを聞いたところ、「7日以上」との回答が27社で、「5日以内」(23社)、「3日以内」(15社)が続いた。最高裁の推計では、約7割の事件が3日以内、約2割が5日以内で終えるとされており、一定の参加は見込めそうだ。
ただ、裁判が長期化する場合については、「4日以上なら間隔を空けてほしい」(サービス)などの声があがった。また、「特別休暇は3日程度を想定しているため、それ以上かかる場合は、休暇の取得日数を制限せざるを得ない」(製造)という意見もあった。
殺人事件など悲惨な事件の審理を担当し、精神的なショックを受けた裁判員への心のケアについては、53社が「自社のメンタルヘルス体制で対応する」と回答した。ただ、「残酷なシーンを連想させる機会を極力避けてほしい」(情報サービス)、「事後のケアだけではなく、事前に十分説明を」(メーカー)といった要望が相次いだ。
最高裁は24時間体制の電話相談窓口を設置する方針だが、「裁判員には守秘義務もあり、社内で出来ることには限界がある」(百貨店)として、国による支援を求める声も多かった。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081128-033595/news/20081129-OYT1T00850.htm