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2008年11月27日(木) 02時35分

<元次官宅襲撃>何でクビに…コンピューター関連会社に憤り毎日新聞

 「何でおれをクビにするんだ」。3〜4年前、東京都内のコンピューター関連会社を辞めさせられた小泉毅容疑者はこう憤ったという。その後、収入が不安定となり、元厚生事務次官宅連続襲撃事件を起こす大きな転機になったとみられることが、警視庁と埼玉県警の共同捜査本部の調べで明らかになった。

 調べでは、小泉容疑者は、定職を失った後、さいたま市の自宅でパソコンを使い、インターネット株取引を始めた。アパートの部屋にこもる生活。もうけが出た時もあったが、損失もあり、収入は不安定だった。それでも、自ら確定申告して、所得税や住民税の控除も申請していた。

 05年11月、自宅近くの歯科医院で治療を受けた。健康保険証を持っておらず、歯科医の勧めで国民健康保険に加入した。小泉容疑者は「金をかけたくないので最小限で治療してくれ」と繰り返した。失業前後とみられる時期で、医療費も抑えようとしたとみられる。

 その直後、タクシーにぶつけられて足をけがしたと主張し、9カ月間、タクシー会社側の負担で治療を受けた。タクシーによる無料送迎は193回計26万円分。保険会社を通じ通院1日当たり4000円の慰謝料を小泉容疑者に支払うことで示談が成立したという。こうした“収入”も生活の糧となっていたらしい。ナイフを集め始めたのもこの時期だ。

 捜査幹部は「結局、挫折感を募らせ、社会に敵意を抱くようになっていったのではないか」とみている。

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