2008年11月27日(木) 00時28分
【定額給付金】消費より貯蓄? 増税見え隠れ 効果相殺(産経新聞)
標準的な4人家族(夫婦2人、子供2人)で6万4000円も支給される定額給付金だが、「景気浮揚の効果は限定的」との見方は根強い。また、全世帯への支給には「ばらまき」との批判もある。金融危機の深刻化による景気後退で国の財政はさらに悪化するのは確実で、将来の消費税引き上げも現実味を増してきている。先行きの国民負担を考えると「臨時収入」も素直に喜べそうもない。
「デジタルカメラなら初心者向けの一眼レフタイプ。薄型テレビならセール品をうまく探せば、22インチの液晶に手が届くかもしれない」。6万4000円あれば何が買えるのか。大手家電量販店に聞くと、こんな答えが返ってきた。
DVDレコーダーなら最新のブルーレイ・ディスク機には手が届かないが中級以上の機種を買うことができる。
「消費へ意欲が向かうきっかけになればいい。不透明で厳しい先行きへの心理的なプラスの効果になれば」(大手流通)と消費の現場からは定額給付金に対する期待が高まっている。
だが、2兆円がすべて消費に回るわけではない。
定額給付金の経済効果について、与謝野馨経済財政担当相は「今後1年間でGDP(国内総生産)を実質で0・1%、名目でも0・1%程度押し上げる効果がある」と試算したが、2兆円といえばGDPの0・4%。本来、それ以上の消費拡大効果も期待されるはずだが、そうならないのは家計がすべて消費に回さず、貯金に回す可能性が高いからだ。
エコノミストによって見方はまちまちだが、30〜60%しか消費には結びつかないとみられている。
麻生太郎首相は、景気回復後の消費税増税に前向きな姿勢を示しており、政府は平成27年の消費税率5%アップを模索する。世帯当たりの年間消費支出を300万円とすると、15万円が税金として吸い上げられる計算だ。「大盤振る舞い」の先には大きな負担が待ちかまえている。
三菱総合研究所の白石浩介主席研究員は「政府としては責任ある政策をアピールしたかったようだが、逆に将来の増税への予想を国民に抱かせ、景気対策としての効果を相殺させたきらいがある」と指摘する。
早期支給にこだわるあまり、所得制限をめぐる混乱などきめ細かさに欠けた政策運営が、定額給付金のアナウンス効果押し下げにつながったかもしれない。(石垣良幸)
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