シンガー・ソングライターの松任谷由実さんが、スペシャルなゲストと対談する「yumiyoriな話」。第5回のゲストは、2004年に名跡「十一代目、市川海老蔵」を襲名した、歌舞伎界のプリンス市川海老蔵さん(31)。
現代の歌舞伎界を担う若手スター「海老様」は、ワイドショーや週刊誌をにぎわしてる、”やんちゃなプレーボーイ”のイメージとは違い、ストイックなまでに歌舞伎に打ち込む好青年だ。
新年1月3日から新橋演舞場で行われる「新春花形大歌舞伎」では、成田屋の十八番「七つ面(ななつめん)」や「義経千本桜」などを上演。また、「にらみ」の口上では124年ぶりに巻物を読み上げるという大役に挑む。
全くジャンルの違う世界で活躍するユーミンさんとの対談は、はたしてどうなるのか?実家が呉服店を営むユーミンさんは、子どもの頃から何度か歌舞伎を見に行く機会があり、元祖三之助 (さんのすけ)のファンだったそうだ。また、プライベートで名古屋・御園座の海老蔵・襲名公演を見に行ったり、対談でも歌舞伎役者や演目の名前がポンポンと飛び出したりと、意外な”通(ツウ)”ぶりに驚かされた。
しかし、初対面の海老蔵さんに対し、ちょっと攻撃的なユーミンさんが、この日のファンションからもうかがえる。これまでの対談では、クラシカルなワンピース姿で登場し、ファッションでもファンを楽しませてきた。「今回の対談相手は歌舞伎役者だから和服か?」という安易な予想を裏切り、ライダースジャケットにパンツというロック風ないでたちで軽く先制パンチ。
ユーミンさんに衣装を選んだポイントを聞くと「海老蔵さんのスタイリストさんを知っているので、こういうのもありかなぁ?と。和服も考えたんだけど、これなら海老蔵さんが何を着てきても合うかな?と思って」。さすが、ファッション上級者。
撮影のため、ソファに2人並んで座ると、いきなり「エビちゃんって呼んでいい?」と、ジャブを浴びせるユーミンさん。少したじろいだ海老蔵さんは、「えっ、エビちゃんはちょっと……。蛯原友里さんがいるので……」。
海老蔵さんも物心ついたころから自然とユーミンさんの歌を耳にしており、今回の対談も海老蔵さん側からオファーがあったとのこと。「なんで歌手になろうと思ったのですか?運動は?食事は?普段の生活は?」など、矢継ぎ早に質問攻めで対抗。それに対し「フツーかなぁー?スーパーに買い物にも行くし、食事も作るし主婦してますよ」と、さらりとかわすユーミンさん。歌舞伎の名門に生まれ、プレッシャーや使命を背負ってきた海老蔵さんは「フツーな生活がうらやましい」とぽつりと本音を漏らした。
子どものころから当たり前のように歌舞伎中心の生活を送り、父であり、師匠である十二代目、市川團十郎さんとの親子関係についても語られた。海老蔵さんは自身の襲名と團十郎さんが病気になってから、歌舞伎に対する姿勢や心境が大きく変ったそうだ。
海老蔵さんは、1日4箱吸っていたタバコも辞め、食生活も野菜中心に変えた。「神に捧げるつもりで演じます。みなさんの邪気が払えれば」と「七つ面」への意欲を力強く語った。ユーミンさんによると「インドの修行僧みたい」。
團十郎さんの退院後「生まれて初めて、父とゴルフの打ちっぱなしに行って、手ほどきを受け、楽しかった」というエピソードに感動し「いい話。なんだか涙が出ちゃう」と、ユーミンさん。対談は大いに盛り上がり1時間半にも及んだ。
詳しくは12月6日(土)の夕刊紙面をお楽しみに!(※掲載日は地域によって異なります)※対談の完全版はでご覧になれます。
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(ヨミウリ・オンライン)
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