2008年11月26日(水) 00時56分
「アブねぇ」 vs 「チンピラ」 2次補正で泥仕合(産経新聞)
麻生太郎首相が平成20年度第2次補正予算案の今国会提出を見送り、年明け早々に召集する通常国会冒頭に提出する方針を決めたことで、今国会提出を求めてきた小沢一郎代表が率いる民主党が猛烈に反発している。28日に党首討論で両者は直接対決する見通しだが、与党と民主党の相互不信は募るばかりで、延長国会も与野党の全面対決が続きそうだ。
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対決感情丸出し 2人の写真特集
首相と小沢氏の対立は感情的になっている。首相はペルー訪問中の22日に行った同行記者団との懇談で、小沢氏を「この人の話、アブねえな。信用できない」と批判。これに対して、小沢氏は23日のNHK番組で「チンピラの言いがかりみたいな話だ」と反撃した。
「オレが役割を果たせるなら、進んで先頭に立つ」
2次補正の今国会提出見送りを伝えられた25日夕の民主党幹部会。小沢氏は怒りをこらえきれない様子で語り始めた。
幹部会では、自民党側が党首討論を要求していることが話題に上ると「党首討論嫌い」と言われている小沢氏が「オレは(党首討論に出るのは)やぶさかじゃない」と切り出した。首相との直接対決の宣言だった。
「『政局より政策』を掲げたにもかかわらず、2次補正を先送りした首相の矛盾を追及する」(国対幹部)のがねらいだ。
幹部会は民主党独自の経済・金融対策を法案化し、延長国会に提出する方針も確認し、「政府の無為無策」(鳩山由紀夫幹事長)を際立たせたい考えだ。
■民主、信頼できない
一方、与党からは「2次補正が今国会に出てくれば採決する」と主張する民主党への批判が出た。
「民主党は30日までの会期末までに2次補正を出せば、クリスマスまでに採決すると言ってきた。だが、彼らは18日に新テロ対策特別措置法改正案を採決する約束をほごにした。信頼できない」
「ねじれ国会」で煮え湯を飲まされてきた自民党の鈴木政二参院国対委員長は25日の記者会見でこう語った。
同党の大島理森国対委員長も同日夕の会見で、「年明け早々に(2次補正が)提出された段階で、責任を持って、ご発言の趣旨を実行してほしい」と小沢氏をあてこすった。
2次補正を今国会に出しても民主党が方針転換して、会期内採決の約束をほごすれば、麻生内閣は立ち往生してしまう。
2次補正は参院送付後30日で自然成立するが、関連法案は自然成立せず参院送付後60日の衆院再議決が必要だ。通常国会は国会法で1月召集が決まっており、関連法案の再議決に必要な2月上旬までの延長はできない。
しかも、野党が多数の参院が、衆院再議決前に関連法案の継続審議を決め、通常国会冒頭で参院で否決する手もある。参院は同一会期中に同一案件を審議しない「一事不再議の原則」を盾に関連法案審議を拒否でき、2次補正は葬り去られる恐れがある。
■気にせずやれ
これらは追加経済対策の発表の時期がずれ込んだためだが、麻生首相にとって安全な政権運営のため「他の選択肢はない」(自民党幹部)。だが、自民党の中堅・若手からは2次補正の今国会提出論が噴出している。森喜朗元首相ら町村派幹部は25日、派閥事務所で会談、首相を支えることで一致したが、こうした中堅・若手を批判する声が出た。
25日、河村建夫官房長官からペルー訪問中の自民党の動向などの報告を受けた首相は自らに言い聞かせるかのように語った。
「よく説明し理解してもらうように。いろいろな意見があるのはいいことだ。おまえも気にせずにしっかりやれ」
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