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2008年11月25日(火) 08時17分

【あなたが裁く 迫る裁判員制度】候補者名簿 通知28日発送産経新聞

 ■確率352人に1人/無断欠席10万円過料も

 来年5月にスタートする裁判員制度に向けて、「裁判員候補者名簿記載通知書」が28日、最高裁から一斉に発送される。受け取るのは約29万5000人。全国平均で352人に1人の確率だ。「もし通知書が届いたら、どうすればいい?」「他人に話したらダメなの?」…。「そのとき」に備え、裁判員制度の基礎知識を知っておきたい。

 (1)通知

 Q なぜ私に?

 A 候補者名簿は翌年1年間に裁判員候補者となる各地裁・支部計60カ所の指定人数を、各市区町村の選挙管理委員会が、有権者名簿からくじで選んだリストがもとになっています。

 Q どうすればいいの?

 A 中には通知書と、裁判員になれない「欠格事由」「職業禁止事由」「辞退」について聞く「調査票」が同封されているので、該当する人はその質問にマークシート方式で回答し、12月15日までに返信します。とくに該当する項目がない人は返信しなくて大丈夫です。

 Q その後は何を?

 A 「欠格・職業禁止事由」「辞退」が認められた人(管轄地裁で教えてくれる)は、そこで終わり。それ以外の人には翌年の1年間(平成21年は5月21日〜12月末)、事件ごとに裁判員候補者として「呼出状」が届く可能性があります。

 (2)選任手続き

 Q 呼出状が届いたら?

 A 呼出状は全国60の地裁・支部のうち自宅の管轄から裁判の6〜8週間前に届きます。その際、裁判日数も伝えられるので、仕事などを調整し、指定の日時に行きます。呼び出される候補者は50〜100人。指定の日時に行かない場合、10万円以下の過料(制裁)が科されることもあります。

 Q 何人が選ばれるの?

 A 裁判官らによる1人数分の面接で人数を絞り、最後はくじで6人の裁判員と、場合によって補充裁判員2人を選びます。最高裁によると、昨年の有権者数と該当事件数で計算した裁判員・補充裁判員になる確率は全国平均で約5000人に1人ですが、大阪の2893人、千葉の2907人に1人から、秋田の1万1862人、福井の1万1742人に1人まで地域格差もあります。

 Q くじで外れた人は?

 A その時点で候補者としての仕事は終わりです。その年に再び呼び出しを受けることはありません。

 Q 裁判する事件は?

 A 殺人、強盗致死傷、現住建造物等放火、身代金目的誘拐、危険運転致死など刑事事件の重大犯罪で、損害賠償などの民事訴訟や少年審判などはありません。

 Q 何をすればいいの?

 A 公開の法廷に3人のプロの裁判官と一緒に並び、審理に参加したり、非公開の「評議」で自分の意見などを伝えます。裁判は1日5〜6時間で、連日実施。その7割が3日以内と見込まれています。最後は被告人の有罪・無罪、有罪なら具体的な量刑まで決めます。法律的な知識がなくても、裁判官がアドバイスしてくれます。

 (3)守秘義務

 Q 裁判員(候補者)になったことは人に言える?

 A 家族や職場の上司など限られた人になら話しても大丈夫です。ただ、裁判員法101条には「何人も裁判員もしくはその予定者の氏名、住所、その他個人を特定するに足りる情報を公にしてはならない」とあります。自分自身のことでも、出版や、テレビ・ラジオで話したり、個人が特定できるブログに書いたりといった、不特定多数の人に向けて公にすることは避けなければなりません。

 Q 「評議」のことを人に話しても大丈夫?

 A 評議については経過や意見、評決の結果などすべて秘密です。証拠や記録から知った被告や被害者ら事件関係者のプライバシーに関することも言ってはいけません。裁判員が評議の秘密などを漏らした場合は、6カ月以下の懲役か、50万円以下の罰金が科せられることもあります。

 Q 法廷内でのことは?

 A 公開された法廷での審理については、話しても問題ありません。評議も中身に触れなければ、裁判員として裁判に参加した感想なら話してもかまいません。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081125-00000041-san-soci