記事登録
2008年11月24日(月) 09時52分

WTO年内合意を「誓約」 APEC首脳が声明、宣言中国新聞

 【リマ23日共同=山口順治】アジア太平洋経済協力会議(APEC)は二十二日午後(日本時間二十三日早朝)、ペルーの首都リマで首脳会議を開き、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の細目合意について「来月に達成することを誓約」と明記したリマ特別声明を採択した。金融危機に対し「協調的かつ包括的な形で緊密に協力していく」ことも確認した。

 最終日の二十三日は、二〇五〇年までに温室効果ガス排出量半減の目標を世界で共有するとした七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の宣言に「留意する」とした首脳宣言をまとめ、閉幕する。

 特別声明は「世界経済の減速が経済情勢を悪化させる保護主義的な動きにつながる危険がある」と強い懸念を表明。WTO交渉の早期妥結を求め、関係閣僚に対し十二月にジュネーブで会合を開くよう指示した。十五日の緊急首脳会合(金融サミット)が宣言で早期合意に向け「努力」とした文言が「誓約」にまで強められたことで、交渉進展の機運が高まりそうだ。

 金融・経済危機については協力して対処する姿勢を強調、議長国ペルーのガルシア大統領の主張を反映し「われわれは十八カ月で危機を克服できる」とした。麻生太郎首相は貿易保険を複数国間でカバーし合う「アジア太平洋貿易保険ネットワーク構想」を提案した。

 APEC首脳は、世界の成長センターとして高い成長率を誇ったアジア太平洋地域にも金融危機の影響が広がっているとの認識を共有。各国・地域が金融部門を安定させ「投資と消費を促進させるための異例の措置」を引き続き実施するとした。

 首脳宣言はアジア太平洋自由貿易圏構想の経済的影響をさらに分析するよう指示することや、食料不足と食料価格の乱高下が貧困の削減や実質所得の増大に与える影響を懸念することなども盛り込まれた。

 二〇〇九年の次回首脳会議はシンガポールで開催する。

 ▽APEC首脳宣言要旨

 【リマ23日共同】アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が採択した首脳宣言の要旨は次の通り。

 一、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の迅速かつ野心的でバランスの取れた妥結を支持。

 一、地域経済統合の強化に向けた閣僚による報告を歓迎。

 一、アジア太平洋自由貿易圏構想が地域に与える経済的影響についてさらに分析するよう指示。

 一、途上国経済の食料不足と、乱高下する世界の食料価格が、過去十年間に達成した貧困削減と実質所得の増大に影響を与えることを懸念。

 一、WTOドーハ・ラウンドの妥結は(過度の補助金など)農業貿易を阻害するような措置を削減。

 一、二〇〇七年のインドネシアでの気候変動枠組み条約締約国会議における決定と、排出量の削減目標を含む長期的な協力行動に関する合意形成努力を歓迎。

 一、(二〇五〇年までに温室効果ガス排出量半減の目標を世界で共有するとした)七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)宣言に留意。

 一、APEC事務局に政策支援部門を設立するとの閣僚の提言を歓迎。

 一、二〇〇九年の次回首脳会議はシンガポールで開催。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811240086.html