【リマ23日共同】金融機関の破たんや大手自動車メーカーの経営難など欧米で猛威を振るう金融危機の影響が、アジアや南米の新興国にも及んできた。世界経済のけん引役と期待された「成長センター」の減速は欧米景気を一段と悪化させる悪循環を招きかねず、新興国の踏ん張りが世界経済の行方を左右しそうだ。
今回のアジア太平洋経済協力会議(APEC)には、欧米に比べ金融危機の傷が浅いアジアや南米諸国が多数参加している。しかし途上国から「輸出が減速している」「中小企業を助けたいが財源がない」といった声が相次ぎ、先行きへの危機感は強い。
APEC域内で経済の減速が目立つのが、一九九〇年代後半のアジア通貨危機の際に債務不履行寸前まで追い込まれた韓国だ。今夏以降、主力の自動車・電子産業の輸出が鈍化。韓国政府は通貨危機再来の懸念に対し「現在の外貨準備で十分に耐えられる」(
南米については「製品輸出や出稼ぎ労働で米国に依存するメキシコ経済の不安が話題になった」(交渉筋)という。APECには参加していないが、アルゼンチンも危機説がくすぶっている。
途上国は金融危機の深刻化以前から原油と食料価格の高騰でインフレが進行、消費の落ち込みで経済が傷んでいた。専門家は「金融危機が追い打ちを掛けた形だ。影響が出るのはむしろこれからだろう」(シンクタンク研究員)と警戒する。
日本はAPECの場で、各国が内需振興策などで自国経済を下支えすることが重要と主張、声明にも盛り込まれた。ただ、途上国が実行するには財政面の課題もあり、日本をはじめ国際社会による支援が不可欠だ。