広島大大学院の長沼毅准教授(47)が、南極と北極地域にすむ微生物を調査する国際計画を指揮している。温暖化など地球環境の変動の研究に役立てるため、極地の微生物のデータベースをつくる世界初の試み。世界最小クラスの新種を含め数十種類を確認するなど成果を挙げつつある。
長沼准教授は、環境が変わると数日から数週間の短期間で種が交代する微生物の特性に着目。温暖化の影響が表れやすい極地で、微生物の種類や分布の変化が把握できれば、地球環境の変動の研究に役立つと考えている。
国際計画「MERGE(マージ=統合)」は長沼准教授が提唱し、25カ国が参加する。
06年の調査開始から、光合成で生きるシアノバクテリア類、シアノバクテリアが作る養分を食べるバチルス類など数十種を確認。長沼准教授自身も北極を2回訪れ、今年8月には氷河で大腸菌の1000分の1という世界最小級の新種を発見した。MERGEは09年度まで調査を重ねた後、微生物のデータベースを世界に公開する。
【写真説明】北極のスピッツベルゲン島で微生物を採取する長沼准教授