2008年11月23日(日) 02時03分

＜元次官宅襲撃＞屋内で元次官探す？　中野事件（毎日新聞）

　東京都中野区の元厚生事務次官、吉原健二さん（７６）宅で、妻靖子さん（７２）が刺された殺人未遂事件で、犯人の男が靖子さんを襲った後、当時不在だった吉原さんを捜した可能性があることが、警視庁野方署捜査本部の調べで分かった。

　靖子さんが「室内で気付いたときには犯人はいなかった」と証言していることも判明。捜査本部は、吉原さんの不在を確認して犯人が逃走したとみている。　当初、靖子さんは犯人に追いかけられ、先に自宅を飛び出したと思われていた。しかし、靖子さんは捜査本部の聴取に「室内で気付いたときは、犯人はもう周りにいなくなっていた」と証言したという。このため、犯人が靖子さんを最後まで追い回さなかった可能性が強まった。

　捜査本部によると、男は１８日午後６時半ごろ、「宅配便です」とインターホンを鳴らして靖子さんを玄関に呼び出した。幅５０〜６０センチ程度で胸や腹が隠れるほどの大きめの段ボール箱を持っており、靖子さんが受け取ろうとした瞬間、いきなり胸や背中などを刺した。箱の受け取りで無防備になった瞬間を狙ったとみられる。

　靖子さんが奥に逃げ込んだため、男は土足のまま上がり込んで追いかけた。靖子さんの血痕は玄関から廊下、リビング、台所まで点々と付着し、これを追うように足跡が廊下とリビングに残っていた。しかし、室内を詳しく検証した結果、台所には血痕はあったが足跡はなく、犯人が立ち入っていないことが分かった。途中で追うことをやめて、吉原さんを探したとみられる。

　吉原さんは、財団法人や非営利組織（ＮＰＯ）などの役職はあったが非常勤で、通常夕方は家にいることが多かった。しかし、この日はたまたま学生時代のクラス会で不在だったという。

　捜査本部は、玄関で応対した家人を無差別に殺傷しているが、吉原さん本人が狙いだった可能性があるとみている。【佐々木洋、古関俊樹、神澤龍二】

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