2008年11月23日(日) 21時28分
【元厚生次官ら連続殺傷】ペットロスの犯行動機 識者からは疑問符(産経新聞)
小泉毅容疑者は、ペットを失ったショック状態を指す“ペットロス(愛玩動物喪失)”を、犯行動機にあげている。しかし、容疑者がペットを失ったのは、かなり昔のことだ。識者は“ペットロス”による後遺症の深刻さを指摘する一方、動機として「釈然としない」と話している。
■写真で見る■騒然とする麹町警察署
ペットを亡くした後の飼い主の心理ケアなどに取り組んでいる「日本ペットロス協会」代表で心理カウンセラーの吉田千史さんは「家族のように大切にしていたペットを失った心理的後遺症は際限なく続き、怒りや復讐となって表面化することもある」と指摘。事件との関係については「何らかの厚生省への怒りがきっかけとなり、ペットを殺されたときの恨みが反社会的行為につながった可能性も考えられるが断定的なことは言えない」と話した。
犬や猫の処分について著書がある作家の小林照幸さんも「家族が『近所迷惑になる』などと子供の同意を得ずに犬を保健所に連れて行き、子供が強いストレスを抱えるケースはある」と“ペットロス”の後遺症の大きさを強調。一方で、「行政もやむなくやっている処分。こうした動機が旧厚生省幹部を殺すという発想に向かったのなら釈然とせず、やり切れない」と犯行動機を疑問視する。
森武夫専修大名誉教授(犯罪心理学)は「元厚生次官らを狙う事件への動機としては飛躍がありすぎ。本当の犯行動機をまだ語っていないとみるべきだ」と指摘した。
環境省によると、平成18年度に全国で行政機関に引き取られ、殺処分された犬と猫は計約34万匹。ペットブームの一方で「ほえてうるさい」「引っ越しで飼えなくなった」など飼い主の事情で手放すケースは、後を絶たないという。
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