【カイロ23日共同】紅海に近いアフリカ東部ソマリア沖で海賊行為が頻発していることを受け、中東やアジア方面と欧州の間を航行する海運会社などのタンカーや貨物船が、紅海と地中海を結ぶスエズ運河を回避し、アフリカ南端を
リスクを回避できるものの、より長い距離を航行することになり、輸送コストの増加が懸念されることから、海運各社は早急な海賊対策を各国政府に要求。スエズ運河の通航料が主要歳入のエジプト政府にとっても事態は深刻だ。
ロイター通信によると、デンマークに本拠を置く大手の海運会社APモラー・マースクは石油タンカー五十隻を南アフリカの喜望峰回りのルートに変更。ノルウェーのフロントラインも同様の対応を検討中だ。
国際海事機関(IMO)のミトロプロス事務局長によると、喜望峰回りだと中東のペルシャ湾岸から欧州まで十二日余計にかかるため原油の供給が遅れ、輸送コストも25—30%増加するという。
事務局長は、こうした迂回ルートを余儀なくされれば「さまざまな悪影響が出る」と警告。金融危機の影響で既に通航量が減っているスエズ運河当局者もロイターに「海賊の影響で(さらに)減少するかもしれず、強い関心を持って状況を見守っている」と明かした。