益田市美都町で22日、地元出身の医学者秦佐八郎博士を顕彰する没後70周年記念式典があった。講演会やシンポジウムで、化学療法を確立した博士の業績を再評価した。
秦博士は現在の岡山大を卒業後、北里柴三郎のもとでペスト研究に取り組み、1910年にドイツでドイツ人研究者と梅毒の化学療法薬を共同開発した。
シンポジウムでは岡山大大学院の公文裕巳教授が「秦博士の知名度は低いが、野口英世以上の業績を残している」と強調。北里柴三郎記念室(東京)の森孝之室長代理は「秦、野口両博士は仲が良く、ともに志を持って人を救う研究者の道を後進の私たちに示した」と語った。
広島市民病院の大庭治院長は「自分も美都町出身だが秦博士の後輩と知ったのは20年前。もっと広くアピールしていくべきだ」と訴えた。
【写真説明】壇上に並んで、秦博士への思いを述べる美都中学の石橋利奈さん(右端)と塩道和貴君