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2008年11月22日(土) 07時05分

肩書詐称で人事案撤回 麻生内閣穴だらけ東京新聞

 政府がいったん決めながら、二十一日の参院本会議での採決直前に取り下げた公正取引委員会(公取委)委員に上杉秋則・元同委事務総長を充てる国会同意人事案。上杉氏が弁護士資格がないのに弁護士の肩書で雑誌に投稿していた事実が判明したためで、事前に把握できなかった政府の大失態。民主党は「麻生内閣は統治能力を失っている」(山岡賢次国対委員長)として、麻生太郎首相の責任を徹底追及する構えだ。 (生島章弘)

 上杉氏は一九九四年から九五年にかけ、化粧品業界向け月刊誌「国際商業」に、「弁護士・大野金一郎」とのペンネームで六回にわたって論文を掲載。この事実をつかんだ民主党は二十日、自民党側に、上杉氏を不同意とする意向を伝えた。

 自民党側は公取委に確認したが、「本人は知らなかったので問題はない」と説明を受けたため、二十一日の参院本会議に臨むことに。自民党から連絡を受けた官邸も、公取委の説明をうのみにした。

 しかし、本会議直前になって、民主、共産両党の調査で、上杉氏が編集にかかわった第一法規発行の「実務解説 独占禁止法」の宣伝用チラシでも「弁護士」の肩書が使われていたことが判明。

 上杉氏は「出版社のミス」と弁明したものの、政府側はいったん決めた上杉氏の人事案を撤回せざるを得なくなり、河村建夫官房長官は記者会見で「事前に十分調査をする必要があった」と、全面的に非を認めた。

 これに対し、与党側は「前代未聞の事態」(自民党の世耕弘成参院議院運営委員会筆頭理事)「言い訳のしようのない大失態だ」(公明党幹部)などと、怒りを爆発させた。

 麻生首相は自らの発言が原因で、ただでさえ求心力が低下しており、それに追い打ちをかけるような政府の失態だからだ。

 一方、虚偽の肩書記載を暴き、人事案撤回に追い込んだ民主党は「全く不適格な人を提示してきたことに、麻生内閣の問題が集約されている」(簗瀬進参院国対委員長)「麻生内閣の経歴などの調査は極めて甘い。首相の大きな問題として追及していく」(山岡氏)などと、攻勢を強めている。

(東京新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008112290070050.html?ref=rank