元厚生次官宅襲撃事件で、吉原健二さん(76)の妻靖子さん(72)が襲われた東京都中野区の自宅を犯人が訪れた際、宅配便業者を装って持ち込んだ箱は、首から下の上半身が隠れるほどの大きさで、靖子さんは受け取ろうとした瞬間に刺されていたことがわかった。
物色の跡はなく、箱が見つかっていないことも判明。警視庁は、殺害だけを目的に侵入した犯人が、大きな箱を受け取ろうとして靖子さんの両手の防御が甘くなったすきに刺した可能性が高いとみて調べている。
同庁幹部によると、犯人は吉原さん宅を訪れた際、上下作業服につば付きの帽子をかぶり、「宅配便です」と呼びかけるなど、宅配便業者を装っていた。
その際、犯人は段ボールのような箱を持ち込んでいたが、犯行当時の状況を同庁が靖子さんに聞いたところ、「箱は体が隠れるほどの大きさだった」と説明したという。
同庁は21日夜までに、1階部分の検証をほぼ終了した。
その結果、廊下とリビングに靖子さんの血痕と犯人の足跡が残り、ダイニングからは靖子さんの血痕だけが発見された。家具などに物色された跡はなく、現金入りの財布も手つかずのまま残されていた。
犯人が持ち込んだ箱は室内には見当たらなかった。
これまでの調べで、犯人は犯行後、吉原さん宅から南へ約70メートルの路上まで速足で逃げた疑いが強いことがわかっている。
また、事件直後とみられる18日午後6時30分過ぎには、近所の複数の住民が、急発進して走り去る不審な車の音を聞いていた。
このため同庁では、犯人が箱を持ったまま車まで戻って逃走した疑いがあるとみて、目撃者捜しに全力を挙げている。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081118-5344510/news/20081122-OYT1T00408.htm