記事登録
2008年11月22日(土) 22時25分

「年賀状離れ」に一役? SNS新サービス産経新聞

 国内最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を運営する「ミクシィ」(東京都渋谷区)が、住所などを知らないミクシィ内の「友人」にも年賀状を届ける新サービスの受け付けを25日にもスタートさせる。新年のあいさつを携帯電話やメールで済ませる若者が増加する一方で、届いてうれしいのは「メールより年賀状」と考えているという統計も。サービスが若者の年賀状離れに歯止めをかける契機になると指摘する専門家もいる。

 新サービス「ミクシィ年賀状」は、年賀はがきの送り手がミクシィ会員用のメールで、はがきを送ってよいかを相手に連絡。相手が了承して名前と住所を登録すると、ミクシィが送り手に代わって希望の図柄やコメントを印刷した年賀はがきをポストへ投函(とうかん)する。相手の名前や住所などの個人情報は、送り手側に通知されない。

 標準価格は1通98円と通常の年賀はがき(50円)の約2倍だが、同社は「個人情報を教え合わずに、年賀状が手元に届くのが売り。伝統的な紙の年賀状の良さも感じてほしい」と自信をのぞかせる。

 サービスは、実施主体のミクシィに対し、日本郵政グループの郵便事業株式会社(東京都千代田区)が提案した。同社によると、昨年の年賀はがきの発行枚数は約40億2100万枚で、5年前と比べて約10%減少。特に若年層の年賀状離れが顕著なため、10〜20歳代を中心に1568万人(9月末現在)もの会員を持つミクシィの「大票田」を借りた形だ。

 今年の年賀はがきの販売はすでに始まっており、10月29日までの販売予約は前年比の2割増だった。郵便事業株式会社は「アナログとIT(情報技術)という意味で立ち位置は対極だが、大きな相乗効果となる」と期待する。

 売り上げの目標枚数は非公表。サービスが浸透するかは未知数だが、年賀状に対する潜在的な消費力を示すデータもある。調査会社の「アイシェア」(横浜市)が20〜40歳代の421人に行った調査によると、「年賀はがきと年賀メールのどちらを出すか」の問いに対し、20代は「メールのみ」が23%と他世代を圧倒。一方で、同じ20代が届いてうれしいと感じるのは「年賀はがき」が81%で、「メール」(75%)を上回った。

 若者文化に詳しい椙山(すぎやま)女学園大の加藤主税(ちから)教授(61)は「印刷したり、投函したりする行為を面倒くさいと思う若者が増えたが、年賀状をもらってうれしく思うのは世代を問わず同じ。手軽に写真なども張り付けられれば、若者に“年賀状文化”が再び根付くのではないか」と分析している。

     ◇

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS) インターネット上で管理・運営されるコミュニティー型のウェブサイト。米国で誕生し、日本では平成16年ごろから開設されるようになった。自分の写真や日記、趣味や嗜好(しこう)などプロフィルを掲載しておくことで、友人以外でも、同じ趣味を持つ人同士などで交流できる。主に招待制や会員制。ニックネームでの登録が多く、互いにメールアドレスなどの個人情報を知られることなく、メッセージを送る機能があることが特徴。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081122-00000560-san-soci