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2008年11月21日(金) 16時53分

「環境にやさしい」「光熱費が安くなる」——急いではいけない電気温水器の契約Business Media 誠

 夜間の割安な電気で沸かしたお湯をタンクに貯めておき、それを日中に使うことができる電気温水器。「蛇口をひねれば、いつでもお湯が使える」「炎や煙を出さないため、近所迷惑にならない」などを特徴に、ここ数年、電気温水器が普及している。その一方で、消費者からは「よく考えると高額だった」「急がされて契約してしまった」といった相談が、国民生活センターに数多く寄せられている。

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 環境問題への関心が高まる中、業者の販売方法に問題はないのだろうか。またどのようにすれば被害を未然に防ぐことができるのだろうか。

●「他社でも見積もり」「周囲との相談」が大切

 国民生活センターに寄せられた、電気温水器に関する相談は増加しており、そのうち訪問販売は約8割。電気温水器の訪問販売に関する相談件数は、2003〜2008年度の間で3894件に達した。2007年度(1343件)は2003年度(200件)の約6倍、2008年度(9月末時点)は688件で、前年同期(381件)の2倍ほどのペースで増加している。

 相談者を男女別で見ると、男性54.4%、女性45.4%。年代では50〜60歳代が多く「将来高齢になった場合に備えて、電気温水器への関心が高い状況がうかがえる」(国民生活センター)。平均契約金額は127万円だが、中には電気温水器とセットでIHクッキングヒーターなどを契約している人もいるようだ。

●消費者からの相談事例

 大手の電気設備会社の名前を出して「委託されている」と言い、「今月末までに電気温水器を契約すれば、補助金が出る。工事費も無料。電気代とガス代が安くなる」と言われて、13年払いのクレジット契約(約100万円)をした。(30歳代女性)

 「地区内をオール電化の集中工事のため回っている」と訪問され、夫のいる日を予約した。当日話を聞いたところ、「今契約すると優待価格になる」と説明された。「よく考える」と言ったら、「今日中に契約してほしい」と言われたので、契約(約135万円)してしまった。その後、家を建ててもらった業者や、近所の電力会社の人に聞いたら、4人家族が使用するには容量の小さい電気温水器を、通常よりかなり高額な値段で契約させられていることが分かった」(30歳代男性)

 「環境にやさしい」「経済的」「キャンペーン中」などのセールストークに引かれて契約するケースが目立っているが、消費者はどのようにして被害を防げばいいのだろうか。「訪問販売でその場で契約する前に、他社から見積もりを取ったり、周囲と相談するなどして検討すること。また光熱費が安くなるということを理由に契約をするのであれば、光熱費が安くなる場合の条件について説明してもらうこと」(国民生活センター)という。

 電気代やガス代は各家庭によってさまざま。業者の「今より安くなる」という説明を信用せず、その根拠となるデータを求める姿勢が必要。また「電気温水器のモニターになってもらえれば、代金を支払います」と言われても、販売業者が倒産すれば、消費者が肩代わりしなければならない。気軽に契約すればトラブルにつながる可能性があるため、慎重に契約を結ぶことが必要のようだ。

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