広島市で小学一年
小学二年に成長した弟(7)を見て「あいりは四年生か。どれくらい大きくなっていたのかな」と想像してしまう。あの事件さえなければ、今も仲良く姉弟で遊んでいるはずなのに。「残念だし、悔しい」
昨年十一月に始まった控訴審が結審した今年七月末。まな娘が事件当日持っていたノートなど遺品六十点が、広島高検から返却された。
自由帳を開くと、小さな左右の手のひらをかたどって鉛筆で描いた絵があった。「残してくれて、うれしい」。そっと自分の手を重ねてみた。
「あいりをどう誘い、なぜ彼女だったのか」。真実を知りたい一心で、遺影を抱いて傍聴してきた裁判も、来月九日に二回目の判決を迎える。ホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(36)は「悪魔に支配された」と繰り返し、納得できる答えはついに得られなかった。
意見陳述で極刑を求めた建一さんだが、「たとえ合法的でも彼の命を奪うことになれば、わたしのせいかもしれない」と、胸中で