麻生太郎首相が、総額二兆円の定額給付金など追加経済対策を実施するための二〇〇八年度第二次補正予算案と関連法案の今国会提出を見送り、来年一月の通常国会に提出する方針を決めたことが二十日、分かった。
首相と自民党の細田博之幹事長、大島理森国対委員長が十九日夜、会談し、確認した。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議から帰国する二十五日に表明する。二次補正の今国会提出を求めていた民主党の反発は必至で、与野党攻防は一層激しさを増すことになる。
十九日の会談では党側が(1)税収の落ち込みに伴う〇八年度予算の減額補正確定に時間がかかる(2)作業を急げば〇九年度予算編成作業に支障が出る(3)民主党が抵抗すれば関連法案が成立しない可能性がある—などと指摘、首相も同意した。
通常国会を早期に召集する方針も確認。ただ、民主党が今国会で金融機能強化法改正案の参院採決に応じなければ来年一月五日ごろまでの延長が必要で、民主党の出方を見極めて具体的な日程を決める。
細田氏は二十日、会合でのあいさつで「年内は予算編成、税制を議論し、年明けに補正予算と本予算、税制改正関連法案、(定額)給付金の法改正、そういうものを一気に片付けなければならない」と述べた。
河村建夫官房長官も同日午後の記者会見で、二次補正の取り扱いに関し「二十五日に首相が帰国次第、もう一度確認して最終決定をするとの段取りになるのではないか」と述べた。自民党は最終決定後、民主党に伝える。
今国会提出見送りに対し、野党が「景気対策優先を掲げる首相の言行不一致」との批判を強めるのは確実。与党内にも「国民に明確な説明が必要だ」との指摘がある。首相は、来年度予算案と一体的に経済対策を実施する必要性を強調するとみられる。