2007年度に休職した県職員、教職員、警察官の約40%が、うつ病などの「心の病」が理由だったことがわかった。年々、精神疾患による休職の割合は増え続けており、07年度は県と県警では過去最も多かった。各職場でメンタルヘルス対策などに乗り出しているが、歯止めがかからないのが現状だ。(角亮太)
■現状
07年度にうつ病やストレス反応などの精神疾患を理由に7日以上の療養休暇を取ったのは、県職員が過去最多の55人(全休職者161人)で、今年度は10月末ですでに48人(同129人)に上る。
教職員は85人(同152人)で、今年度は10月末で70人(同111人)。県警は30日以上の療養休暇で集計しており、警察官も過去最多の26人(同99人)だった。
県、県教委、県警の休職者計412人のうち、精神疾患による休職者は166人で全体の40%を占めている。若い人からベテランまで、さまざまな年代、役職の人がいるという。
県職員厚生課は、県民の行政へのニーズが多様化し、業務のハードルが上がっていることを指摘し、「仕事のやりとりがメール中心になり、上司、同僚とのコミュニケーションがうまく取れずに、一人で悩みを抱え込んでいるケースも多い。ただし、休職者が増えたのは、職場で早期発見、治療を呼びかけた成果とも言え、単純に状況が悪化したとも言えない」と話す。
05年度の9人(同66人)から約3倍に急増している県警厚生課は「ストレスの多い仕事ではあるが、これだけ増えると問題だ」と頭を抱えている。
■対策
県は06年度、職員向けの「心の健康づくり計画」を策定し、その一環として、職員を対象に専門医が面談、電話相談にあたる「心の健康相談」を行っている。07年度の利用者は291人で、さらに積極的な利用を呼びかけていくという。
一方、休職後、復帰までに時間がかかったり、復帰しても再発して再び休職したりするケースも少なくない。県では05年度に4人だった再休職者が、07年度には11人に増えている。
県は07年1月から、円滑な職場復帰を支援するために「試し出勤」制度を導入した。休職中に時間や量を制限しながら仕事をして、約1か月かけて徐々に感覚を取り戻させるシステムで、今まで5人の職員が利用し、いずれも復帰を果たした。県教委も今年度から導入し、すでに5人の教員が利用し、3人が復帰を果たしたが、2人は再休職した。県警でも導入を検討している。
県職員厚生課は「精神疾患は“心の風邪”ということを周知徹底し、本人と周囲の理解を広げていくしかない」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20081119-OYT8T00718.htm