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2008年11月20日(木) 00時11分

宅配業者装う同一手口 元厚生事務次官ら連続殺傷事件中国新聞

 元厚生次官ら連続殺傷事件で、殺害されたさいたま市の山口剛彦やまぐち・たけひこさん(66)夫妻宅玄関に山口さんの印鑑が落ちていたことが十九日、埼玉県警の調べで分かった。犯人は宅配業者などを装って玄関を開けさせた可能性があり、東京都中野区の吉原靖子よしはら・やすこさん(72)が刺された事件と同じ手口だったとみられる。

 警視庁と埼玉県警は同一犯による連続テロの可能性が高まったとみて、同日、共同捜査本部を設置した。山口さん夫妻の死因は、県警の司法解剖の結果、刺されたことによる失血死だった。

 また、山口さん宅と吉原さん宅前の道路には、それぞれ血痕の付いた足跡が残っていたことも判明。いずれの現場でも犯人は徒歩で逃走したとみられ、警視庁と県警は足跡を照合するなど捜査を進める。

 県警の調べでは、山口さんの印鑑は、妻の美知子みちこさん(61)の遺体のそばに落ち、ふたが付いた状態だったという。

 山口さん宅から「十七日午後五時三十八分」と打刻された近くのスーパーのレシートが見つかった。県警は、美知子さんがスーパーで買い物をし、帰宅した後に襲われたとみて犯行時間を絞り込む有力な手掛かりとしている。

 台所の換気扇は回ったままで、夕食の準備中だったらしく、犯行時間は夕方から夜にかけてとみられる。吉原靖子さんも十八日の午後六時半ごろに襲われており、犯行は一日おいたほぼ同時間帯だった可能性が高い。

 また、山口さん宅前から最寄りのJR武蔵浦和駅方向に向けスニーカーの足跡が続いていた。駅から電車に乗った可能性もあり、駅の防犯カメラに不審な人物が写っていないか調べる。

 山口さんの手には犯人と争った時にできたとみられる傷があったが、美知子さんにはなかった。県警は、犯人の応対のため玄関に出た美知子さんがいきなり襲われ抵抗できず、その後、山口さんが襲われたとみている。

 一方、吉原さん宅の南側に続く道路にも、約八十メートルにわたり血痕があった。

 警視庁によると、靖子さんの胸には二—五センチ幅の傷が数カ所あり、一部は肺の表皮にまで達していた。背中にも一カ所刺し傷があり、手には争った時にできたとみられる傷があった。

 犯人が逃げる靖子さんを執拗しつように追いかけて襲った疑いが強い。靖子さんは命に別条ないという。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811200101.html