元厚生事務次官ら連続殺傷事件で、山口剛彦さん(66)と妻美知子さん(61)が殺害されたさいたま市南区の自宅周辺に、血痕の付いたスニーカーの足跡が残っていたことが19日、埼玉県警の調べで分かった。吉原健二さん(76)の妻靖子さん(72)が刺された東京都中野区の自宅前の道路にも、血痕のついた足跡が残っていたことが警視庁の捜査で判明。警視庁と埼玉県警は同一人物によるテロ事件の可能性もあるとみて、足跡を照合するなど捜査を進める。
山口さん方は台所の換気扇が回ったままで、夕食の準備中とみられる痕跡があった。吉原靖子さんも午後6時半ごろに襲われており、犯行は夕方のほぼ同時間帯だった可能性が高い。
埼玉県警によると、足跡は山口さん宅から南東約500メートルのJR武蔵浦和駅方向に向け100メートル以上続いていた。県警は犯人が徒歩で逃走し、この駅から電車に乗った可能性もあるとみて、駅などの防犯カメラに不審な人物が写っていないか調べる。
山口さん宅には玄関部分にしか足跡が残っておらず、犯人は2人を襲った後、室内に入らずに逃走したとみられる。
17日夕方に配達された夕刊は家の中に取り入れられており、いつもは深夜に消されている玄関灯は朝までついたままになっていた。検視の結果、遺体は死後硬直が始まっており、山口さん夫妻は18日未明までに死亡したとみられる。
一方、中野区の吉原さん宅の南側に続く道路には、約80メートルにわたって血痕が残されていた。警視庁は男が靖子さんを刺した後、徒歩で逃走したとみて捜査している。