警察当局が「連続テロの可能性がある」とみて捜査を始めた元厚生事務次官の山口剛彦さん(66)夫妻殺害事件と、同じく厚生事務次官経験者の吉原健二さん(76)の妻が刃物で刺されて重傷を負った事件。
二つの事件には、山口さんと吉原さんの経歴だけでなく、自宅にいたところを襲われた点や、凶器が刃物だったことなどいくつかの共通点が浮かび上がる。
警察庁は「前代未聞の事件」(同庁幹部)として、19日、埼玉県警と警視庁の幹部を招集し、情報共有のための会議を開く。
さいたま事件の被害者、山口さんと妻の美知子さん(61)の遺体が発見されたのは、さいたま市南区の自宅の玄関内だった。2人は並ぶように倒れていた。衣服の乱れも、室内が荒らされた跡もなく、強盗や物取りではないことをうかがわせている。
一方、吉原さんの妻、靖子さん(72)が東京都中野区上鷺宮の自宅で、宅配便業者を装った男に刺されたのも玄関先だった。野球帽をかぶった男はその後、すぐに逃走しており、室内には足を踏み入れなかった。
また二つの事件とも凶器は特定されていないが、いずれも刃物が使われていた。山口さん夫妻の刺し傷は深く、複数あった。靖子さんも腹などを何回も刺されている。
犯行時刻をみると、靖子さんは18日午後6時30分ごろに被害に遭った。
山口さん夫妻については、目撃証言がないため犯行時間はまだ特定されていないが、死後硬直の状況などから捜査本部は17日夕方以降に殺害されたとみており、その直後の犯行だとすると時間帯も極めて近いことになる。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081118-5344510/news/20081118-OYT1T00887.htm