元厚生事務次官らが相次いで殺傷された事件から一夜明けた十九日朝、東京・霞が関の厚生労働省では一階と地下の入り口で警備員が職員以外の入庁者を金属探知機でチェック。出勤してきた職員の大半は報道陣の問い掛けにも無言のまま、足早に庁舎に入った。
「(厚労省で)金属探知機は記憶にない」と四十代の幹部職員は驚いた様子。「厚労省は陳情も多いので、これまでセキュリティーは緩い方だった。排他的になるので厳しくするのは良くないが、今は仕方がない」。肉親捜しのため十七日に一時帰国した中国残留孤児とその関係者計約十人も来庁し、同様にチェックを受けた。
年金局長室と社会保険庁長官室の前にも警備員一人がそれぞれ配置された。妻が刺された元事務次官
年金制度改革の節目となる中間報告案を議論する社会保障審議会年金部会は十九日午後、都内で予定通り開催し、年金局長ら幹部職員が顔をそろえる。ある幹部職員は「今回の事件で変更するのも変な話。中止したら屈することになってしまう」と話した。