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2008年11月19日(水) 05時31分

2人の元次官「年金のエース」 記録問題で批判に直面も中国新聞

 事件のキーワードは「年金」か—。旧厚生省の歴代事務次官が狙われた事件。十八日、刺殺体で発見された元事務次官山口剛彦やまぐち・たけひこさん(66)と、同日妻が刺され重傷となった同吉原健二よしはら・けんじさん(76)は一九八〇年代半ば、旧厚生省年金局で部下と上司の関係だった。昨年発覚した社会保険庁の年金記録問題のあおりで、歴代幹部として批判にも直面していた。

 「次官OB二人の共通点は『年金のエース』ということだ。事件と関連があるのだろうか」と厚労省幹部はまゆをひそめる。

 旧厚生省幹部を狙った連続テロの見方が広がる中、厚労省は歴代事務次官と年金局の幹部経験者らに対し身辺に注意するよう連絡。事件の鍵として二人の接点である「年金」が焦点に浮かぶ。

 現行の公的年金制度の基本を形作った大型改革が実現し、一階部分に基礎年金の仕組みが導入されたのは八六年。法案の国会審議など重要局面の八四—八五年、年金局全体を率いる「吉原局長」を「山口年金課長」が支える形だった。

 「現行制度の基礎づくりを担った人たち」(厚労省幹部)であり、ともに事務次官まで登り詰めた。だが昨年、年金記録問題の発覚後は、野党などから歴代次官の責任を問う声が相次いだ。

 吉原さんは社保庁長官も務めており、山口さんは「宙に浮いた年金」で注目された「基礎年金番号」の導入時期に次官だったことも、批判の材料に。歴代次官らに対し、当時の次官が賞与から自主返納したのと同額分を返納するよう求められる事態に発展した。

 元最高検検事の土本武司つちもと・たけし白鴎大法科大学院長は「かつて、同じ省庁の歴代次官が狙われた例はなく、イデオロギーを感じる。在任中に何があったのか分析も必要だろう。古い話だが、今回の事件を聞いてまっさきにピンときたのは戦前の二・二六事件だ」と話した。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811190134.html