さいたま市で十八日、元厚生事務次官で全国生活協同組合連合会理事長の
警察庁は旧厚生省幹部を狙った連続テロの可能性があるとみて、全国の警察に関係者の警備強化を指示。十九日に、警視庁と埼玉県警の捜査幹部を呼び、情報共有化のための捜査会議を開く。
厚生労働省によると、現在の基礎年金制度が創設された一九八五年に吉原さんが年金局長を、山口さんが年金課長をそれぞれ務めていた。厚労省は歴代の事務次官や社会保険庁長官、年金局幹部に身辺の警戒を連絡。庁舎入り口と大臣官房のあるフロアの警備員を十九日から増やすことを決めた。
埼玉県警によると、十八日午前十時十五分ごろ、さいたま市南区別所の山口さん方玄関で、山口さん夫妻が胸から血を流して死亡しているのを隣家の親族が発見。二人の胸にはそれぞれ鋭利な刃物で刺されたとみられる数カ所の刺し傷があり、県警は殺人事件と断定し、浦和署に捜査本部を設置した。十九日に司法解剖する。
十八日午後六時半ごろには、東京都中野区上鷺宮の吉原さん宅玄関前で、宅配便を装った男に妻靖子さんが胸などを刺された。男は逃走。吉原さんは外出しており無事だった。
警視庁によると、男は身長約一六〇センチ、三十歳ぐらいで、野球帽をかぶっていた。警視庁は殺人未遂容疑で野方署に捜査本部を設置した。
吉原さんは五五年、山口さんは六五年にそれぞれ厚生省(当時)に入省。二人とも年金局長などを経験し、吉原さんは八八年六月から九〇年六月まで、山口さんは九六年十一月から九九年八月まで、それぞれ事務次官を務めた。
埼玉県警によると、山口さん夫妻は二人暮らし。室内に目立った物色の跡はなく、凶器も見つかっていない。二人とも普段着姿で着衣に乱れはなく、玄関内に並んだ状態であおむけに倒れていた。県警は遺体の状況などから十七日深夜までに殺害された可能性が高いとみている。