2008年11月19日(水) 20時59分
【元厚生次官ら連続殺傷】上司と部下…共に取り組んだ年金制度改革(産経新聞)
妻が襲われた吉原健二さんと死亡した山口剛彦さんは、ともに厚生省の中枢である年金畑を歩んできた。特に、昭和59年6月から60年8月までの約14カ月間は吉原さんが年金局長を、山口さんが年金課長を務めていた。
上司と部下の関係にあった2人が取り組んだのが、当時すでに目前に迫っていた高齢化社会の到来を控え、年金制度を将来にわたって安定的に運用していくための大改革だ。
主な改正点は(1)それまでバラバラに縦割りで運用されていた「国民年金」「厚生年金」などの土台部分を共通の基盤とする「基礎年金」制度の導入、(2)「国民皆年金」を実現させるために任意加入だった専業主婦を国民年金に加入させる、(3)標準的なサラリーマン世帯の年金受給額を、現役世代の69%程度になるよう保険料を段階的に引き上げていく−といったものだった。
改正法案が審議された国会では「基礎年金額が低く抑えられている上に、国庫負担も少なすぎる」「保険料の引き上げ水準が急激すぎる」といった反対意見が出された。改正法案は60年4月に自民、民社両党などの賛成多数で可決、成立した。
しかし、安定運用をうたった改革も平成19年になって、基礎年金に統合されないままになっている約5000万件の年金記録の存在が明るみに出るなど、問題が噴出している。
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