2008年11月18日(火) 22時01分
殺人 さいたまと関連?…別の元厚生次官の妻が刺され重傷(毎日新聞)
18日午前10時15分ごろ、さいたま市南区別所2の元厚生事務次官、山口剛彦さん(66)方玄関内で、山口さんと妻美知子さん(61)が死んでいるのを、訪ねてきた近くの親せきが見つけ110番した。また、同日午後6時半ごろ、東京都中野区上鷺宮2の元厚生事務次官、吉原健二さん(76)方玄関で妻靖子さん(72)が刺され重傷の模様。埼玉県警と警視庁は殺人・殺人未遂事件として、2人の経歴が似ており、手口が似ていることなどから、関連を調べている。
埼玉県警捜査本部の会見などによると、山口さん夫婦は玄関の土間部分で共に足を玄関口に向けてあおむけに倒れており、美知子さんは玄関側、山口さんは室内側だった。ともに胸には刃物によるものとみられる複数の刺し傷があり、遺体の状況から殺害されて数時間〜十数時間たっていたとみられる。山口さんはシャツにズボン姿、美知子さんはセーターにスカート姿。服の上から刺されたとみられるが、凶器は見つかっていない。
玄関の鍵はかかっていなかった。玄関から血が外に流れ出しており、遺体を引きずった跡や血の付いた足跡なども見つかっていないという。17日の夕刊が郵便受けから取られていたことなどから県警は、2人は17日夜に殺害された可能性が高いとみている。19日午前、司法解剖し死因を調べる。
山口さん夫婦には成人した息子が2人いるが、現在は2人暮らしだった。
また、中野区の事件では、靖子さんは宅配便を装った男に腹などを刺されており、近所の人の通報で駆けつけた救急車で病院に運ばれた。
山口元事務次官は東大法学部を卒業後、1965年に厚生省に入省、年金局年金課長、年金担当の官房審議官、年金局長などを経て、96年から厚生事務次官を2年9カ月担当した。その後、社会福祉・医療事業団と、事業団が組織変更した独立行政法人福祉医療機構の理事長を08年3月まで務めた。年金課長時代に85年の年金制度大改正を手がけ、省内では「年金制度のスペシャリスト」と呼ばれていた。
吉原元次官は1955年、東大法学部を卒業し、旧厚生省に入省。児童家庭局長、年金局長を経て86年から2年間、社会保険庁長官、続いて88年から2年間、厚生事務次官を務めた。【浅野翔太郎、小泉大士、西田真季子】
◇ともに年金局長経験
2人の元厚生官僚トップは、共に旧厚生省の年金局や官房の要職を務めた。10年の入省年次の違いはあるが、吉原氏が88年6月に事務次官に就任した際、山口氏も同時に官房会計課長に就任。直接の上司と部下として、予算編成や国会折衝など、中枢として官房を取り仕切った。基礎年金制度の導入を決めた85年の年金制度大改正後の省内を、共に切り盛りしたことになる。
経歴にも類似点がある。吉原氏は84年6月、年金分野のトップである年金局長に就任。2年間務めた後、社保庁長官を経て事務次官に就いた。一方、山口氏は81年8月から2年間年金課長を務め、92年7月に年金局長、96年7月に保険局長となり、当時の事務次官の汚職事件を受けて同年11月に後任の次官に就任した。
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