総務省は十六日、多額の借金を抱え経営悪化した第三セクターなどの処理を急ぐため、処理経費に充てる特例的な地方債を自治体が発行できるよう地方財政法を改正する方針を固めた。早ければ次期通常国会に改正案を提出、発行期間は五年程度に限定し、二〇〇九年度からの実施を目指す。
改正案が想定する処理対象は三セクや道路、土地開発、住宅供給の三公社など自治体が出資する法人。出資法人の債務も含め財政悪化度をチェックする自治体財政健全化法が〇八年度決算から本格適用されるのに備え、財政を圧迫する三セクなどの債務の早期整理を促す。
ただ自治体の借金に当たる地方債の投入による無制限な救済を避けるため、経営陣の責任明確化が前提となりそうだ。
三セク破たんは北海道夕張市が財政再建団体に転落する一因となるなど、自治体の財政を直撃する恐れがある。このため総務省の有識者研究会(座長・
総務省は夕張市の破たんなどを受け出資法人の廃止を含む見直し計画を〇九年度までに策定するよう自治体に通知している。処理の加速には財政的な裏付けが必要と判断、法改正し特例債を導入する方針を決めた。発行には総務相の同意が必要で、償還の一部に交付税を充て自治体の負担を軽減する。
経営責任を明らかにする方策として総務省は、破たんに至る経緯や責任の所在について、住民や議会に対し徹底した情報開示を自治体側に求める考えだ。
さらに、経営陣に対する損害賠償の請求や、背任行為が疑われるケースでは刑事告発を行うなど、現行制度の枠内で可能な限り経営責任の明確化に努めるよう要請する。
破たんした三セクの多額の負債としては、〇六年の東京臨海副都心建設(東京都)など関連三社の約三千九百億円、〇三年のハウステンボス(長崎県)の約二千三百億円などがある。