参院財政金融委員会で審議中の金融機能強化法改正案が、石原慎太郎東京都知事ら「新銀行東京」関係者の参考人招致をめぐり、暗礁に乗り上げている。民主党は都知事の参考人招致を強く要求。自民党は成立を確実にするため招致に応じる構えだが、石原氏は態度を明確にしていない。三つどもえの駆け引きが続いており、三十日の会期末までの成立に黄信号がともり始めた。
自民、民主両党は十二日、石原氏を十九日に参考人招致することでいったん合意した。しかし石原氏が海外出張で不在になるため、十九日は新銀行東京の大塚俊郎取締役会議長兼取締役会長を招致し、石原氏は二十五日に招致する方向で再調整に入った。
しかし大塚氏は多忙を理由に出席に難色を示した。石原氏も十四日の会見で「時間の折り合いが付けば出るつもり」と述べる一方で「何を聴きたいかさっぱり分からない。参考人を呼ぶ順番もある」と明言を避けた。
参院で過半数を持たない与党は、衆院で民主党の要求を一部受け入れて法案を修正、参院でも二十五日までに参考人招致と委員会採決を済ませる段取りを描く。
自民党の鈴木政二参院国対委員長は「ご本人が出席できるなら結構なこと」と表向きは民主党と歩調を合わせるが、党内では「民主党が審議引き延ばしの理由にしてくるとやっかいだ」(参院国対幹部)との警戒感も出てきている。
民主党は会期内処理が基本方針だが、ずさんな融資が相次ぎ逮捕者も出た新銀行東京を公的資金投入先から除外する法案再修正を目指しており、日程は極めて窮屈。財政金融委の現場には「石原氏に話を聴かなければ審議は進められない」との強硬論もあり、出口は見えてこない。