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2008年11月15日(土) 01時54分

ネット選挙 解禁へ公選法改正を急げ(11月15日付・読売社説)読売新聞

 あいまいな法体系のままで選挙を重ねると、トラブルや不公平が増大しかねない。与野党は、インターネット社会に対応した公職選挙法の改正などに早急に取り組むべきだ。

 インターネットはこの10年で急速に普及し、総務省によると、国民の約7割が利用している。

 政治の分野でも、ネット利用は浸透した。だが、選挙運動となると、ネットを活用するための法整備はいっこうに進んでいない。

 政党や議員、立候補予定者の多くは、ホームページ(HP)やブログ、メールマガジンで活動報告などを発信している。各党はネット上の動画サイトに専用チャンネルも開設し、幹部のインタビューなどを配信している。

 ところが、現在の公選法の解釈では、選挙の公示・告示日になると、こうしたHPなどの更新は原則として禁じられてしまう。

 公選法は選挙運動に使える「文書図画」をはがきやビラに限っている。総務省は、ネットを通してパソコン画面などに表示されるHPなども「文書図画」にあたるため規制対象になる、と解釈しているからだ。

 ただ、現在の公選法はネット社会を想定しておらず、何が許され、何が規制されるのか、明文による規定はない。

 このため、昨年の参院選で、各党は、候補者の写真掲載は避けたが、公示日以降もHPで幹部の遊説内容などを“なし崩し”的に更新した。地方選挙でも、告示後にブログを更新した候補者の扱いなどで、選管や警察が対応に苦慮するケースが出ている。

 2002年に総務省の研究会が、HPに限定してネット利用を解禁すべきだとの見解をまとめてから、6年がたっている。

 民主党は、メールを含めて解禁し、虚偽表示やサイト改変には罰則を適用する公選法改正案を提出した。だが、自民党は、匿名による誹謗(ひぼう)中傷への懸念などを理由に論議を先送りしたままだ。

 ネットは今や、有権者が政治家の政策や政治姿勢を知るための重要な道具になった。HPに寄せられるコメントなどを通して、政治家も有権者の反応を直接知ることができる。肝心の選挙の際に利用できないのは不合理だろう。

 オバマ氏が当選した米大統領選に見られたように、ネットの活用は、若者の政治参加や投票率向上につながる可能性もある。

 必要な規制やルールを明文化し、選挙運動へのネット利用の解禁に踏み切るべきだ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081115-OYT1T00021.htm