2008年11月14日(金) 11時50分
脳でパソコンを操作する、全身麻痺の研究者:動画(WIRED VISION)
動画:CBS
四肢に麻痺を持つ研究者たちが、手足を使わず思考だけでコンピューターを操作できるようにするハードウェアをテストしている。
10月31日(米国時間)に放映された『60 Minutes』で、Scott Pelley記者は、まだできたばかりの技術をいち早く採り入れてコミュニケーションを図ろうとする2人の身体障害者についての素晴らしいレポートを行なった。
[ペンシルバニア大学]神経科学の准教授であるScott Mackler氏は、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)を患い、体の自由がほとんどきかない。[筋萎縮性側索硬化症は通称ALS。重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患で、きわめて進行が速く、半数ほどが発症後3年から5年で呼吸筋麻痺により死亡する。有効な治療法は確立されていない]
Mackler氏がパソコンを操作するときは、電極に覆われた帽子をかぶる。この電極は、Mackler氏の脳から出ているわずかな電気信号を感知し、パソコンに伝えることができる。
モニター画面上で点滅する文字列を見ながら、入力したい文字が表示された瞬間に「これ!」と思うだけで、Mackler氏は文章を入力していく。「ブレイン=コンピューター・インターフェース」(BCI)のおかげで、Mackler氏は仕事を続け、科学論文を執筆し、子どもたちにメールを送ることさえできるようになった。
取材中にPelley記者が同じ帽子をかぶると、技術者は電極に電気を伝えるジェルをつけた。記者は、初めての挑戦にもかかわらず、濡れた電極を通じて、パソコン画面上に単語を入力できた。
一方、脳卒中の後遺症で手足が麻痺してしまったCathy Hutchinson氏は、運動皮質と呼ばれる脳の部分に直接電極を埋め込んでいる。Hutchinson氏は、Pelley記者や番組スタッフに、電子メールを送ったり、楽器を演奏したり、電動車椅子を操作したりする様子を見せている。
Mackler氏の場合もHutchinson氏の場合も、BCIは反応が遅くぎこちないように見えるが、これらの実験的ガジェットが2人の生活を劇的に向上させたことは明らかだ。神経科学の専門家たちが、思考を形成する電気信号を観察してその謎を解き明かし、ユーザーがフィードバックを提供していけば、こうした機器がより速く、より滑らかに動くようになることは間違いない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081114-00000001-wvn-sci