麻生太郎首相は13日、世界的な金融危機の克服に向けた提言を明らかにした。格付け会社への規制強化や国際通貨基金(IMF)への最大10兆円の資金提供が柱。ワシントンで14日夕(日本時間15日朝)に開幕する緊急首脳会合(金融サミット)で表明し、各国の理解を得たい考えだ。
首相の提言は金融危機の影響で通貨の急落などに見舞われている新興国への支援強化が中心で、IMFへの資金拠出によって、新興国への支援を後押しする狙いがある。
また、先進7カ国(G7)などの金融・財政当局でつくる金融安定化フォーラム(FSF)に新興国を加えるよう提唱。金融危機に対し、新興国を含めた国際社会が協調して対応する必要性を強調する。これに関連して、IMFや世界銀行での新興国の発言力拡大を求める機構改革も提案した。
格付け会社への規制強化は米サブプライム住宅ローンなどを組み込んだ証券化商品を適正に評価できなかったことを踏まえ、各国当局が格付け会社に一定の法的権限を持つことによって、監視機能を強める狙いがある。
また、提言では日本で1990年代後半に起きた金融危機への対応を踏まえ、短期的な金融市場安定化策として(1)経営者責任を明確化した上での金融機関への公的資金注入(2)金融機関の不良債権処理と、借り手企業の過剰債務解消の一体的処理−などの必要性を強調する。
(中日新聞)